霊感があるのに霊を信じない

カテゴリー「心霊・幽霊」

警官だった頑固オヤジ。
幽霊話なんか鼻で笑うような親父だったが、何かの気配を感じることが何度かあったらしい。

ある時、郊外に建つ一軒の中古住宅を買い取ってリフォームして売り出すことになった。
そして、紹介を受けたその物件を初めて見に行った時の事。

霊感なんてものとは無縁だった親父も初めてその家を見たときに”何か嫌な感じ”がしたそうだ。
でも一応中に入って見てみようということになって玄関の引き戸を開けて中に入った。

カビ臭くてジメジメした薄気味悪い家だったそうだが、一際気味が悪かったのがリビングだったらしい。
そのリビングに大人一人横になれるくらいの大きさの赤いソファーが置いてあった。
一通り中を見終わった親父は少し休憩しようと思い、その赤いソファーに腰を下ろした。

その瞬間・・・。
全身をナメつくすような強烈な寒気が親父を襲った。

実家の事情で16歳から鉄工所で働き始め、筋骨隆々のたくましい体と強靭な精神をもった昭和の頑固オヤジが、その時ばかりは悲鳴を上げて逃げ出したそうな。

家の外に飛び出してしばらく呆然と家を見つめていると、近所の人らしき爺さんが親父に声をかけてきた。

近所の爺さん:「オメさんあの家に何か用があってきたんかね?」

親父は事の経緯をすべてその爺さんに説明。
それを聞いた爺さんは顔を曇らせて、「悪いことは言わないからあの家に関わるのはやめろ」と言ってきたそうだ。

爺さんが声のトーンを落として教えてくれた話によると、この家で数年前に殺人事件があったらしい。

何でもそこに住む夫婦の間でいざこざが起き、奥さんが旦那さんを包丁で刺殺したという事件だったらしい。

旦那さんはリビングの赤いソファーの上で血まみれになって力尽きていたそうだ。
そう、親父が腰かけたあの赤いソファーの上で・・・。
以来、その家は空き家になって誰も近寄らなくなったんだそうだ。
もちろんその家は買い取らず、その後どうなったかもわからない。

俺が親父から聞いたのはだいたいこんな話。

そんな話を聞いて数年後、目の前で親父が寒気を感じて飛び上がるのを見てしまった。

それは家族で京都旅行に行ったとき、嵯峨野にある「念仏」と名の付くお寺に立ち寄った時のこと。
まさに俺の目の前でソレを感じたらしく、「うあああああー」とか叫びながら俺のほうにダッシュしてきたwww

それを見てオレは「ああやっぱりこの人は何かを感じる力を持っているのかもなー」と妙に納得してしまった。

ちなみに親父は幽霊話なんか鼻で笑うと書きましたが、中野の警察学校で度々目撃された、旧軍兵士の幽霊の話だけは信じていたようです。

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