これは高校時代経験した話です。
当時私は決まって週末はオールで友達と遊んでいました。
ある週末。
当然その日も友達Aとオールで遊んでいたのですが、凄い大雨が降ってきたので友達Bの家に泊まることになりました。
Bの家は二世帯住宅でおばあちゃんがいました。
とりあえず夜中の2時だったので、おばあちゃんの家の方がいいって事になり電気もつけずBに指示された玄関から入って暗闇を奥に進みました。
「呼びにくるから今はここで待ってて」と言われた場所に私とAはしゃがんで座っていました。
Bのおばあちゃんの家に上がるのはコレが初めてでした。
本当に真っ暗で何がどこなのかわからず、Aと2人小声で適当に話しながらBを待っていました。
暗闇に慣れてきた頃Aが「40分は経ったよね、あ?見て?遺影がある、Bのおじいちゃん初めて見た」
私:「本当だ、厳格そうなおじいちゃんだね」
A:「確か2年前に亡くなったんだって。って言うか遺影位置低すぎない?遺影ってもっと上にあるもんだと思った」
私:「確かにすごい低い、低すぎるよね」
そう話していたらBが来て「ごめんね、もう少し待ってね」と。
どうやらBのお父さんが起きてるらしい。
Bのお父さんは怒ると凄く怖かった。
夜中に勝手に来たのは私達だし何せ外は雨、ココに居られるだけありがたかった。
再び暗闇の中、小声でAとくだらない話をして笑って時Aの腕が何かに当たった。
A:「この固いの何?」
私:「お米じゃない?ほら米って書いてあるじゃん」
A:「お米か~何だぁ~」
その瞬間私と友達は同時に暗闇の中を見渡した。
目を凝らして見えてきたのは野菜や食器棚、テーブル・・・・・・。
A:「・・・・・・・・・」
私:「・・・ここ台所?・・・・・・」
A:「そうだね・・・」
その時私とAの考えてる事は同じだった。
『台所に遺影があるわけない』と思った瞬間、私もAも同時にさっき見た遺影に目をやった。
遺影がない・・・・・。
A:「え?・・・なくない?・・・・・・」
私:「・・・・・・」
私:「・・・・・・出よっか・・・」
私達は恐怖を押さえつつ焦るように台所から出たすぐの所にしゃがんでいた。
そこで待つこと20分。
やっとBが来た。
B:「本当ごめん、今平気だからこっち来て!」
行った部屋はおじいちゃんとおばあちゃんの居間。
そこにはさっき台所で見た遺影と仏壇があった。
高い位置に飾られた優しそうなおじいちゃんの遺影・・・。
Bが飲み物を取りに部屋から出ていった後、私とAは仏壇で手を合わせました。
私は心の中で『夜中に来てごめんなさい』と謝りました。
何故なら台所の遺影のおじいちゃんは明らかに厳しい表情で居間にあった遺影とは別人に見えたからです。
私が経験した実話でした。