体験ではないけど、不可解な話するぜ?
もう取り壊されたけど、実家の団地の話。
古い団地で見た目もちょっと怖かったんだが、その団地が建ってる一帯が昔炭鉱だったらしい。
で、嘘かホントか、うちの棟を建てるときに基礎を掘ったら、生き埋めになった人骨がたくさん出て来たそうだ。
そもそも、そんな基礎ぐらいの浅いところに生き埋めになるなんてことあるのか知らんが、夜になると「コツコツコツコツ」どこからともなく音がしてみんな「幽霊が石炭を掘ってる」って噂してたらしい。
子供には話さなかったのか、そんな噂全然聞いたことなかったが、このコツコツいう音は確かに子供のころに聞いたことある。
上の方の階の住人は、下の方で聞こえるっていうし、下の方の人は上からっていうんで、ある時、おじさんたちが何人かで夜中に音がどこから出てるか突き止めに出たらしい。
それでも結局、棟のどっかでコツコツなってるだけで上に行ったら下から、下に降りたら上からみたいな感じで結局突き止められなかったらしい。
そのうち、団地の一室で首つり自殺が起こった。
一人暮らしの中年の女の人で、詐欺商法か何かやってるって噂のあるちょっと変な人で、周りと全然付き合いがない人だったらしいんだが、自殺騒動で警察が来るやらなんやらで騒がしかったのは覚えている。
不思議と部屋の中はもぬけの殻というか全然ものがなくて、低いちゃぶ台にカップ麺の食べかすと金槌が一本のってるだけだったんだって。
で、それ以来、コツコツいう音もなくなったらしい。
うちの母の話では「その人が金槌で何か叩いて音を出してたんだろうねえ、気味悪い」って話だったんだが、じゃあ、上から聞こえたり下から聞こえたりってのは、夜中に上行ったり
下行ったりして金槌で何か叩いてたってことか?
みんなで音の出どころを突き止めようと出て来た夜中は?さすがにそんなことしてればどっかの時点で見つかるだろ。
でも、頻繁に聞こえてたコツコツいう音はその自殺事件があった時期からぱったりやんだんだってさ。