昭和61年辺りの解体屋が盛んだった頃。
中学生当時、車が好きだったオレは夜間になると自宅からチャリで20分位の解体屋に通っていた。
通うとは言っても20時で店主が帰るのを見届けてから、そのまま侵入し柵も門もないから好き勝手に色々な車に乗り込んで遊んでた。
悪い事をしてるというのは分かっていたし、近隣に家も建っているからひっそりと遊んでいた。
しかし、日が経つにつれ警戒心も薄れ始めた頃にいつの間にか高さ2メーター超はある柵ができてしまい、侵入できないのをいい事にキー付きのエンジンのかかる車も置かれるようになった。
車検の切れた古いトラックから、大事故を起こした出たばかりの新型車等々。
運ばれてきたばかりの事故車は生々しい。
怖いもの見たさでガラスの破片を避けながら、その車に乗り込んでみたりもしたんだけど、シートベルトをしてないのがフロントガラスに丸い頭の跡がくっきりとしてるし髪の毛も付いてて、死んだんだろうというのがガキのオレにも理解できた。
そういった車の時は中に居ると誰かが居るような感じがする事もあり、何となくいきなし見つかって怒られるような錯覚に陥った。
最も最悪だったのは助手席窓の割られた排気ガス自殺をしたのであろう、窓枠、ドア、排気管とガムテの目張りだらけな車。
興味深々なガキだったオレは中に平気で入って死体の居たであろう運転席に座りインパネ周辺を弄って遊んでいるうちに何故かエンジンをかけてしまった。
すると、ホースなんて無いはずなのに凄い排ガスが立ちこんできて怖くなって出ようと思うとドアが内側から開かない。
それに座ってるシートの背後の席に誰かがおり、あまりの恐怖にそのまま寝てしまったようで目が覚めたら23時であり何が起こったのかよくわからないまま急いで帰宅した。