私が10年以上田舎に帰れない理由

カテゴリー「不思議体験」

私の約10年前の体験。

母の田舎は福島のド田舎で、隣の家までは1キロはあるんじゃないかって感じ。
農家で辺りは見渡す限り田んぼ、畑、山。
ちょっと離れた場所には結構大きめな川が流れてた。

で、母の実家は代々続く農家なのですんごいドデカイ大黒柱のある屋敷があり納屋があり倉があり・・・昔話に出てきそうな正にお屋敷。
冬なんて雪で1階は埋まっちゃうから2階にも結構豪華な扉がついてたしね。
そんなところだった。

約10年前のお盆、当時小学4年生だった私は、中学1年の兄と中学2年の従兄弟のお兄ちゃんと近くの川に泳ぎに行くことになった。

大人たちはみんな福島訛りで何を喋っているかわからないし、テレビなんて子供にはワケわかんないニュースばっかりだったし。(1台しかテレビ無かったからチャンネル回す権利なんて子供には無いし)

とにかくお盆に福島に行けば虫捕りか川遊びか山に探検かの選択肢しかなくて、それに食べ物も漬物や山菜ばっかりで、野菜嫌いで虫が苦手な私にはお盆に福島に行くのは苦痛だった。

川はすごい透き通ってて魚が泳いでるのが見えるから、魚も捕ろう!ってことでバケツと虫捕り用の網持って出掛けてね。
んでくったくたになるまで泳いで魚もバケツにいっぱいになるほど捕って、いざ帰ろうとしたら、ちょっと離れた山の近くで白いモヤモヤした物体があることに気付いた。

よく見てみると、川から道路を挟んだ田んぼの上で揺れてる。
しかもだんだん山から近づいてきてるのがわかって、3人とも恐怖で動けなかった・・・。
むしろ見てはいけないと思って3人とも下を向いてソイツが去ってくれるのを待った。

でも一向に気配は感じない・・・。
近づいてきてるのは何となく感覚でわかるのに、気配がない。

当時一番年下だった私は怖くなり泣き出したんだけど、それを合図にしたようにモヤモヤが私達の回りを変な歩き方で回り始めた。

分かりやすく言うと膝カックンされながら横に大きく揺れながら歩いてる感じ。

前述した通り、近所に家なんてないから歩いてる人がいたことなんて今まで1度も無かったし、ましてやうちの田んぼから歩いてくるなんてあり得ない・・・。
親戚連中でそんな歩き方する人なんていないし・・・。

すると一番年上の従兄弟のお兄ちゃんが私を担ぎ上げ、兄と2人で猛ダッシュでソイツから逃げた。
家に着いたとき、3人とも大泣きしてたのはすごい覚えてる。

家に着いたと同時に叔母が慌てて玄関から出てきて塩を投げつけられた・・・。
で、兄が持ってたバケツと網と、中の魚はその場で何故か燃やされた。

私達は恐怖と混乱で何が何だかわからないままお風呂に入れられ、まだお昼だったにも関わらず仏壇の前で寝かされた。

時間的にまだ眠くねーよ!なんて思ってたけど、疲れてたんだろうね、全員すぐ寝ちゃった。

数時間して3人ともほぼ同時に目が覚めたんだけど、叔母がすげー恐い顔して「何か見たのか!?」って問い詰めてくるの。

普段温厚な叔母だからびっくりしちゃって私はまた泣き始めちゃったんだけど、従兄弟のお兄ちゃんが「真っ白の長いスカート履いた人が変な歩き方で回りをぐるぐる回ってきた、足元しか見てないけど多分上半身は無かったと思う」って説明してた。

私もちょっとだけ見ちゃったから、白いスカートだけがカクンカクンって揺れてたからそれも説明しといた。

で、この時兄が私の目を手で押さえて見えないようにしてくれてたのを思い出してお礼を言ったら「覚えてねー」って。
きっと必死に守ってくれたんだろう、ありがとう兄。

その日の晩は3人ともまた仏壇の前で寝かされたんだけど、お経を唱えるわけでもお札を貼るわけでもなくただ普通に寝て終わった。

次の日、玄関で魚達が燃やされたからどうなったのか見に行ったら焦げあとすらなかった。
でもやっぱり塩は撒いてあったな。

で、ほんとはあと1泊する予定だったけど、急遽その日に帰ることに。
結局あのカクンカクンの正体は誰も教えてくれなかった。
しかもそれ以来、毎年正月とお盆には福島に行ってたのに、うちら家族と従兄弟のお兄ちゃん家族も行かなくなった。

むしろあれ以来約10年従兄弟のお兄ちゃんとは会ってない。(元気に普通に生活してるみたいだから良かった。)

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