最近、刀剣がブームですよね。
これは、実家の本宅さんにあった刀剣の話です。
本宅は寺の過去帳によると鎌倉時代から続く九州の地侍の家で長船を含む、太刀含め数振の刀剣を保有していました。
鎌倉時代からの家ということで、2度の元寇、戦国時代の九州動乱、朝鮮征伐、明治維新前のあれやこれや。
私のご先祖が人を斬るために実際に使っていました。(皆さん大好き南九州の鬼大名とも何度かやりあっています。)
大戦直後、本宅の当主はGHQから刀没収の命令が出るという噂を聞きつけ青ざめました。
刀は武士の魂。
没収されて壊されるのは先祖に申し訳が立ちません。
刀剣を持っていても大丈夫な時代になるまでこっそり隠そうということになりました。
夜、近所の方が皆寝静まり、虫や蛙の声しか聞こえない中、本宅の上の兄弟3人が協力して、畑に深い穴を掘り、錆びないよう油紙でぐるぐるに巻いた刀剣をなかに埋めました。
数年が経ち国内情勢が落ち着きを取り戻したころ、刀剣を掘り返そうということになりました。
ところが、記憶していた場所をいくら掘っても刀剣は出てきませんでした。
ここまでだったら、九州地方ではよくあった話、ですむのですが・・・埋めてから数年後、刀剣を埋めた場所からほど近い小作さんの一家で変事が。
まず、御祖父さんが心臓発作で急死しました。
次に御祖母さんが台風の後、水路で水死体で発見されました。
その一か月後子供と孫が火事で亡くなりました。
一年で一家全滅です。
小作さんちの親戚曰く、お金に困っていたのが、いきなり羽振りがよくなった。
何か長い束のようなものを業者にこそこそ渡しているのを見かけたとのこと。
埋めた刀剣は今も見つからず、盗んだのが本当にその小作さんなのかも今となっては分かりません。
ただ、これが刀剣の祟りだとしたら、今の持ち主は無事なのか。
刀剣とは人の命を吸ってきた業の深い道具、取扱いには注意していただきたいものです。