あるところに、少し気の弱い女の子がおりました。
女の子は親の言うように、大学に行き、すくすくと成長しました。
成人し、就職をして、親の言うように、子供を産み、幸せに見える家庭を築きました。
ところが、女性となった元女の子は鬱病を患いました。
鬱病というのは、コップに一滴一滴、溜めた水(感情)が溢れた状態です。
女性は、泣き崩れ、来る日来る日も泣いていました。
子供は心配しましたが、何もできません。
夫は、何もしてくれません。
女性は、精神科に通い始めました。
精神科の先生は言いました。
「あなたは昔から良い子であろうと努力した、もう両親のために頑張らなくていいのだよ」
女性は、二年間カウンセリングを受けた後、明るくなりました。
家族を連れて旅行に行き、パートをし、また数年がたった頃。
女性は、介護の資格を取り、真面目な働きも評価され、一つの介護の事業所を任されることになりました。
老体となった両親は、素直に喜びます。
しかし、一人で生きていく力を手に入れた女性は、不仲だった夫と別れ自由に生きることにします。
子供も後押ししてくれました。
女性は語ります。
「私は両親のお飾りじゃない」
「私はおとぎ話の鉢かつぎのように、鉢をかついでいる状態だった」
女性は、気の合う男性と生きていく…。
以上、五年くらい前に母の書いた本の内容。
これを読んだ、祖父と祖母は二人とも病を煩うようになり、祖父は去年ガンで亡くなりました。
祖父も祖母も、子供の私に直接言うことはありませんでしたが、かなり頭にきていたと思います。
後押しした子供というのは、妹の方。
私たちは、姉妹です。
家を母が出て行った後、母を避難するメールを送ったところ、私の存在は抹消されたようです。
父とは確かに不仲で、父はかなり空気の読めないタイプの人間でしたし、オタクでしたが。
母が、家を空けがちになり(自己申告では趣味の山登り)、介護の仕事をし初めて家のことを疎かにしても、何も言いませんでした。
母は、自分を悲劇のヒロインにしてしまったのでしょう。
鉢かづきの物語を、千回くらい読み直して欲しいです。