うろ覚えなんでまちがってるかもしれないけど。
大戦中、アメリカからイギリスに向かう船がドイツ軍に沈められた。
どうやら軍事機密か金塊のようなものを積んでいた船で、極秘の内に潜水夫を使って回収しようということらしい。
二週間後準備ができたので、現場にサルベージ会社が向かった。
早速状況の調査にベテランの潜水夫が潜ったが、短い時間で急に引き上げの合図をしてきた。
潜水夫は「船はさかさに沈んでいる」とだけ答え、後はずっと無口だった。
・・・・・結局船の横腹に爆薬をしかけて中に入ろうということになった。
それを聞いたベテラン潜水夫は「あいつのことを考えると気が狂いそうだ」といい、取材に来ていた記者に海の中で見たものを話はじめた。
「ずっと潜っていくと船の中から光が見えた。舷窓から覗いて見ると、生きた人間がいたんだ。沈没して2週間経つ船に生きている人がいるのだから驚かないわけがない。ナイフの柄で窓を叩き、モールスでもって彼と会話をしたんだ・・・・」
この男によると、船の中の男は、ルルドの奇跡を信じヨーロッパへ向かう肺を患った客の特別室付のボーイで、客の寝室の隣にある病人用の酸素ボンベと食糧の置かれた部屋にいたときに攻撃を受けたのだという。
そしてそばにあったレインコート等でドアというドアを塞ぐと水が侵入してこなくなったのだという。
こうして船の中に豊富な酸素ボンベと食糧のある乾いたままの部屋が残り、これによってずっと今日まで生きてきたと語った、という。
そして男は潜水夫に「船を爆破するのだけはやめてくれ」と懇願したという。船に穴が開いたらどうなるかわからないから、と。
そして潜水夫は自分の親方にこの話をしたが信じてもらえず、とうとう爆破と
いうことになり「あいつのことを考えると・・・」塞ぎこんでいたのだ。
ついに爆破の日。
鈍い爆発音が海の底からするとともにいろんなものが浮かび上がってきた。
そして、腐乱した死体にまじって一体だけたった今死んだとしか思えない死体も浮かんできたのだった・・・。