爺さんから聞いた戦時中の話をひとつ。
うちの爺さんはパイロットだったらしいんだけど、2回ほど墜落してるのね。
その2回目の事なんだけどさ。
その時は空戦中で翼をズタボロに撃ち抜かれて制御不能な状態になったんらしいんだよ。
機体も大きく傾いて、これはヤバい角度で地面に叩き付けられるって感じで流石に死を覚悟したらしい。
そしたら戦死していった仲間達がどこからともなく現れて機体を支えてくれて体勢を立て直してくれたんだとさ。
おかげで良い状態で軟着陸出来て怪我もなかったらしい。
その時これは命拾いをしたと思って助けてくれた亡き戦友達に礼を言ったんだと。
そしたら彼等から返ってきた言葉は、国の為に戦えだとか米兵殺せだとかそういう言葉しか返ってこなかったらしい。
その時爺さんは「ああ・・・死んでも楽にはなれず戦い続けるしかないんだな」と悟り腹の底が冷えきるような気持ちになったそうだ。