これは夏の話。
その家は広い敷地の中に大きな母屋と、その左隣にその家の持ち物の借家が何件か建ってたんだ。
塀があって、門があって、そこから敷地に入ると駐車場代わりの広い庭で、その奥に建物が建ってるってわけ。
その突きだけど、うるさいからバイクで入っちゃダメなのね。
だから門のとこでバイク停めて歩いてそこまで行くんだ。
でね、その朝4時前位のまだ真っ暗な頃、その母屋のポストに新聞入れてたらさ、後ろで「ジリッ」って音がしたんだ。
そこの庭はコンクリート敷きで、その上にうっすら砂利が乗ってるからスニーカーなんかで歩くとそういう音がすんだ。
ビックリして振り向くとすぐ後ろに白い服の女が立ってるんだ。
うひゃー出やがったって思ってよく見ると、白いジャージの上下を着た小太りのおばさんだった。
ジャージのおばさんは幽霊になれないのかよって言われたら、そんな事ないだろーし、おばさんにもなんか悪い気がするけど、その時は正直ほっとした。ww
それからそのおばさんは左の借家の方にすたすた歩いてっちゃたんだ。
「なんだよ真っ暗なんだからびっくりすんじゃねえかよ」ってちょっと文句も言いたかったけど、まあその後ろ姿を見てたんだ。
ただちょっと変だったのは、そのおばさん金属バットを捧げ銃にして歩いてたんだ。(捧げ銃てのはオリンピックの入場の時の旗の持ち方ね)
なんすかねありゃ、護身用かなって思ってたんだけど、新聞店に戻って休憩しながらつらつら思い返してたら、あのおばさんもしかしてあのバットで俺の事思いっきりぶっ飛ばそうとしてたんじゃ?って気が付いた。
体勢的にそういう感じだった。
今バットで殴ろうとしてるときに足音で気付かれたんで誤魔化したっていうのが、あの変な捧げ銃の恰好なんっだって思ったら・・・。
もうそれからあのおばさんは見かけないけど、いくら文句が出てもあの家は暗い内にはいーかないっと。
って明け方の月に誓いました。ww