当方は高校三年生男子で、趣味でとあるものをコレクションしている。
高校生にとっては割高だし、扱いに細心の注意が要るために、集めるまで一年ほど掛ってしまった。
泥にはそのコレクションをごっそりと持って行かれた。
事件が発覚したのは平日の昼まで、自分は学校に行っていた。
発見したのは母で、買い物から帰ってきたら俺の部屋の窓ガラスが割られ、部屋の中が荒らされていたらしい。
授業中に母から呼び出しがかかり、早退して帰宅すると、家の内外で警察官たちが捜査をしているところだった。
俺の部屋は本当に引っ掻きまわされていて、ゲームソフト数本と中身の無い貯金箱、そして鍵つきの棚に入っていたコレクション全てが盗まれていた。
一通りの現場検証(?)が終わったらしいので警察官に話を聞くと、どうも泥棒はプロらしいとのこと。
侵入方法も窓を全部割るのではなくて、一部を割って鍵を開けるやり方。
指紋や靴跡なども見つからず、犯人を見つけるのは難しいらしいとのこと。
ただ盗まれたものが盗まれたものなのでしばらくは捜査を続行する必要があり、消防署などにも連絡して警戒する必要があると言われた。
俺は警察署で被害届と、その他の必要書類を記入して提出。
警察には「捜査するから今日は家に帰らないでくれ」と言われていたので、その日は家族で祖父の家に泊まりに行った。
母のところには近所からのwktkメールが相当数届いていたらしく、携帯が鳴りっぱなし。
近所中で一気に噂になったらしく、次の日には中学時代の俺の友人からもwktkメールが来ていた。
犯人が解ったのは、それから約一週間後。
自宅で夕食を取っている時に警察から「先日の盗難の犯人が見つかった、警察署に来てほしい」と連絡を受けた。
保護者の父と警察署に向かうと会議室に通され、そこにいたのは数人の警官と、顔面の半分を包帯で覆ったホラーな容姿の女性。
包帯グルグル巻きという時点で、俺は猛烈に嫌な予感がしていた。
ホラーな女性は俺が対面の席に座ると、いきなり俺を指差して絶叫。
酷く興奮した様子でファ×るファ×る。
言葉の半分は聞きとれなかったが、言いたいことを要約すると以下のようになった。
「お前の家に高価なものがあると聞いてもらいに行ったが、あったのは変な粉だけだった」
「捨てようとしたら爆発して火事になり、自分も酷い火傷を負った」
「だまされた。訴えてやる。謝罪と賠償を」
こんなことを金切り声で、包帯からはみ出した髪の毛を振り乱して絶叫。
かなり怖い。
そんでもって俺は、嫌な予感が的中したことを知った。
俺が1年前から買い集めていたコレクションは、アルミニウム粉末や硫黄、赤リンといった可燃性固体。
第2類危険物だ。
これらは扱い方を間違えれば簡単に出火する。
俺は高校の課外授業で乙種第2類の危険物取扱者の資格を取得したし、怖いから法規制を受けない数量しか買ってない。
しかし集めればそれなりの量になるし、下手をすれば火傷じゃ済まなかった。
というかそもそも、薬瓶に「危険物!」ってラベルを貼っといたのに盗んだのはアンタだろうが!
――――と、ブチ切れた俺はその場で泥に説教くれてやった。
そしたら泥、ファ×るファ×る。
「そんなこと知らない!子供のくせに、そんな危険なものを持っているなんて気持ち悪い!お前のような奴が放火したりするんだ!訴えてやる!謝罪と賠償を(ry」
みたいなことを3倍くらいの罵詈雑言を混ぜて叫び、そのまま俺に掴みかかろうとして、警察官に取り押さえられていた。
正直な所なにを言っても無駄という感じがしたので、被害届は取り下げない旨を警官に伝えて退出させてもらった。
ココまでだとただの泥話なんだけど、これにちょっとしたオチがつく。
俺には妹がいて現在中学3年なんだが、その中学校で有名なDQNの母親が泥だった。
幸いというか残念なことにというか、DQN泥子はその時は家にいなくて火事の被害には遭わなかったらしい。
火事といっても、ボヤから半焼程度のものだったらしいが。
その後の対応については両親と相談し、弁護士を雇って丸投げすることにした。
危険物の盗難に関しては、俺自身の管理はしっかりしていたのでお咎めは無し。ただ、消防署の人に軽い注意を受けた。
泥は余罪が幾つかあったのと、生活保護の不正受給もしてたらしいともっぱらの噂。
火傷は結構酷いらしくて、それの治療が終わり次第に鉄格子の家に引っ越す事になった。
これは妹から聞いたんだが、DQN泥子はこの事件以降、学校に来ていないらしい。
とりあえず報告が出来るのは此処まで。
続報があるようならばまた透過します。
長文&駄文失礼いたしました。
みんなも火事には気をつけてな!