とある私立小学校での話。
その学校では警備員を数人ほど配備していた。
ある日のことである、突然警備員の一人が卒倒し意識を失うという事件が起こった。
すぐ様、救急車が呼ばれて倒れた警備員さんは病院へと運ばれて行ったのだが、警備員さんの様子が普通ではなかったそうだ。
その現場を目撃していた児童らの話によると意識を取り戻した警備員さんは「宇宙人に脳を乗っ取られた!!」と、そう叫び暴れだしたというのだ。
配属場所を変えられたのか辞めたのか・・・結局その事件以降、小学校でその警備員さんを見かけることはなくなった。
宇宙人による意識の乗っ取りがあったのかは分からないが、警備員さんは心に強いストレスを抱えていたことは確かなようで、そのストレスとは大阪で発生した児童無差別殺傷事件である。
事件の余波を受けて、各私立小学校では警備体制の見直し、自治体では警備員の配置に補助金を出す等をして自衛の強化に努めていた。
最も恐れたのが事件に触発された模倣犯の存在で、インパクトの強い事件だった故に、死刑を望んで同様の手口で児童を狙う模倣犯罪は十分に考えられ得た。
警備する側にとって、当時の職務はいつも以上に張りつめたものとなっていたことは想像に難くない。
宇宙人に脳を乗っ取られたという警備員さんが倒れる直前には、警察から小学校周辺での不審者が目撃されたという情報が伝えられていた。
倒れた原因は過度のプレッシャーに耐えきれなかったものとも考えられる。
事件は児童だけではなく小学校の教育現場に携わる大人達の精神にも暗い影を落としたようで、どれだけインパクトの強い事件であったかが分かる話である。