よく学校の怪談ってのがあるでしょ。
うちの学校にもあったんです。
といっても構内ではなく、学校の近くにあったテニスコートなんですが・・・。
うちの学校は校庭が狭くて十分な練習ができないので、テニスクラブは近くのコートを借りて練習していました。
そこのクラブハウスに若い女性の幽霊が出るという話が代々先輩から言い伝えられていました。
突然後ろから声を掛けられて、振り返ったら誰もいなかったとか、トイレの鏡に恨めしそうな顔をした女の子の顔が映っていたとか・・・。
まあよくあるタイプの話なので、私は最初はバカにして笑っていたんですが、一度だけその声を聞いてしまいました。
練習が終わって引き上げようとした時に突然背後で誰かが「痛いの!」と叫んだのですが、振り返ったらそこにはガランとしたロビーがあるだけで誰も居なかったんです。
凄くゾッとして、その場に居た友達にすがりついて今起きたことを説明しようとしたのですが、その友達や先輩に恐い顔で「何も言わないで!」と止められました。
その顔を見て、他の人も同じ声を聞いたのだと分かりました・・・。
その後、妙にはしゃいだように、まるでお互い「何も無かったよね」って確認しあうようなハイテンションで帰路につきました。
今思い出すと妙なんですけど、本当に恐い時ってそんなふうになるもんなんですね。
私が卒業してから何年か経って、同窓会で先生から聞いた話なのですが、そのクラブハウスが改修工事されることになりました。
ところが、入り口のコンクリート部分、タタキって言うんでしたっけ?それを剥がした時に下から人骨が発見されたそうです。
体を丸めるようにして、横向きに埋めてあったそうで、体を縛っていたと思われるロープの欠片らしきものも残っていたのだとか。
明らかに工事関係者が疑わしいわけですが、なにしろその建物が建てられたの30年以上前で、容疑者を見つけるのも難しいだろうし、そもそも時効が成立しているんじゃないか、みたいな話でした。
この話を聞いて、その殺された人は毎日体を沢山の人に踏みつけられていたのか・・・それじゃあ「痛い」って訴えたくもなるよねぇ、なんて恐いような可哀想な複雑な気持ちになりました。