私は物心ついた頃から中学生まで、年に1、2回同じ夢を見ていたんです。
その夢の内容は、どこかのビルに入って出て行くという夢です。
入る時は裏口みたいなドアから入り、通路を抜けてさらにドアを開けるとゲーセンになってます。
内容はそれだけなんですが、何回も見たのではっきり覚えていました。
月日は経って・・・。
私は高校を卒業して車の免許を取り、母と練習を兼ねて遠くまでドライブに行ったんです。
信号待ちをしている時に、ふと手前左側に夢で見たビルと全く同じビルがあったんです。
私:「あっ!あのゲーセン!」
私は思わず声に出してしまいました。
母:「え?ゲーセンって?」
私はビルの方を指差し、興奮して言いました。
私:「ほら、あのゲーセン!夢で見たんだよ!」
母は首をかしげていました。
母:「ゲーセンのようには見えないけど?」
私は信号が青になると左にウインカーを出し、そのビルの駐車場に車を停めました。
よくよく見ると、ビルの1階には消費者金融の看板が。
エレベーターの横の案内にもゲーセンはありません。
外観は全く一緒なのに、中身は違う。
何だかすごくモヤモヤしました。
私:「違う、この入り口じゃないんだよ。たしか裏口から入るとゲーセンがあるの!」
ビルの後ろ側に行くと、やっぱりありました。
夢で見たのと全く同じ。
興奮していたので勝手にドアノブを回してしまいましたが、カギが掛かっていて開きませんでした。
母が不思議な顔をして見ていたので、車に戻って説明しました。
母:「昔ゲーセンがあって、つぶれちゃったのかもしれないね」
母:「でもゲーセンがあっても、そんな小さな時に連れて行った覚えはないけど」
私:「もしかしたら、お父さんがこっそり連れて行ったのかも」
家に帰って、すぐに父に話しました。
すると、父は何か思い出したように言いました。
母:「あーあのビルかぁ、たしかに古いゲーセンがあったよ。俺が大学生の頃に、半年ぐらいバイトしてたんだ。全然客もいないし、つぶれちゃったよ。だけど、お前が産まれるずっと前の話だぞ?」
もうその夢も見ることはなくなりましたが、明らかに私の記憶ではなく父の記憶でした。
本当に不思議です。