1960年代、中華料理を食べた直後に軽いしびれや頭痛、吐き気、顔の紅潮などの症状を訴える人々の報告がなされた。
中華料理を食べたことで起こる一連の症状は“チャイニーズレストランシンドローム”と呼ばれ、犯人はうま味調味料のグルタミン酸ナトリウムと言われていた。
当時のアメリカにおいて、うま味調味料の使用は中華料理に限られていたので、グルタミン酸ナトリウムが長らく犯人扱いされてきた。
しかし、グルタミン酸ナトリウムの摂取実験では吐き気や胸の圧迫といった症状は確認されず、料理に沢山加えても同様の結果であった。
このような複数の実験結果から、現在ではグルタミン酸ナトリウムは原因物質ではないと考えられている。
真犯人として疑われているのがヒスタミンで、サバなどの青魚であたるときにはこの物質による中毒が多い。
チャイニーズレストランシンドロームはヒスタミンの過剰摂取時の症状に似ていること、ヒスタミンを分解するビタミンB6が欠乏している人に症状が現れ易いことが根拠とされている。
獲れてから時間が経過した海産物や魚醤油にヒスタミンが含まれており、中華料理でこういった食材がよく使われることから原因物質として有力視されている。
グルタミン酸について、この物質は脳の伝達物質であるという理由から、多量に摂取すると脳内の伝達が良くなり、ひいては頭がよくなるという噂も流れた。
噂を信じた教育ママは味付けにうま味調味料を多量に使い、お受験を控えた子供に積極的に食べさせたという。
また、アメリカの天才的知能を持った子供が納豆(ねばねばの主成分はグルタミン酸)を常食しているという話がテレビの放送された際には、納豆を子供に食べさせる親も増えたという。