発売記録が無いのにも関わらず、ファンタのゴールデンアップル味が昭和期の日本で販売されており、実際に飲んだことがあると記憶している人が多くいるという不可解な話があります。
飲んだと記憶する方が多いゴールデンアップル味ですが、その空き缶は見つかっておらず過去の商品ラインナップにも記録が残っておりません。
記憶はあれど、物的証拠や公式な記録がないことから、昭和の段階ではゴールデンアップル味は販売されていなかったという線が濃厚です。
しかし不思議とゴールデンアップルを買って飲んだという記憶を多くの人が持っています。
この現象について、発売されたファンタの記録を辿って行くとその理由らしきものがみえてきます。
1974年にアップル味、翌年の1975年にはゴールデングレープ味が発売されています。
しかし、ゴールデングレープ味は沈澱物が生じるという理由により、直ぐに姿を消しました。
アップル味リリースの翌年に現れて、直ぐに姿を消したゴールデングレープ味。
そして、ゴールデングレープの250ml缶のデザインは金と白の組み合わせで、ジュースの色もリンゴジュースの色そのものでした。
以前使用していたファンタグレープの着色料に安全上の問題があった為、ゴールデングレープ味には天然色素が使用されていました。
しかし、その当時、色素を変更したせいでグレープ特有のワイン色が発色できませんでした。
ジュースの色的には白ぶどうという感じでしたが、格好の良い名前にするために(苦し紛れという話も)ゴールデングレープ味と名付けたそうです。
そんな訳でアップルジュースの色とほぼ同じゴールデングレープ味が、ファンタ・アップル味との混同され、ゴールデンアップル味が存在していたという記憶に繋がったようです。
実在しなかった線が強いゴールデンアップル味ですが、2002年に実在の商品として発売され、人々の記憶が現実の物となったのです。
メーカーは巷で囁かれるゴールデンアップル論争を販売戦略に利用したと言われています。
ただ、2002年以前の昭和期に、ゴールデンアップル味を確かに飲んだという記憶がある方も少なからず居ります。
そういった意味ではまさに幻のファンタと言えるでしょう。