あの空間は何だったんだろう

カテゴリー「不思議体験」

バイク二人乗りで旦那と出掛けた帰りに陸橋を通った際、ふと左を向くと建物の間から昇りたての赤い満月が見え「目があった」ような感じがした。
今考えるとおかしな感覚w

その色味や浮き彫りみたいな鮮明さが気味悪くて、旦那にも伝えた。
「確かに気持ち悪いねぇ」なんて話していたのだけど、旦那が次の信号で急に左折した。

普段は曲がらない路地に入り込んで進んで行くから、自分は『裏道なのかな?』ぐらいにしか思っていなかった。
次のT字を右、その後は左・・・目的があるように迷いなく進むのだけど、何故かいくら走っても住宅街の路地から抜け出さない。
旦那無言。
ようやくおかしいと思い、話しかけると「あれ?」とか「駄目だ」とか妙な返答。

薄く点く街灯と自販機の明るさだけが印象的で、その時に気が付いた。
そういえば誰も・・・路地に入り込んでから人一人遭遇していない。
車も一台も通らない。
都心部にほど近い場所でまだ大して遅くもない時間なのに。

バイクのエンジン音があるにも関わらず、変に静かな道に怖くなった。
今まで走ってきた感覚や何となくの地理を思い浮かべ、「右に進んで行けば大きな幹線道路に出るはずだよね!」と堰切ったように互いに話し出し、しばらく走行の後に車の行き交う大きな見慣れた道にやっと出られた。

バイクを停めて二人して降り、旦那に訊いてみるも何故あの路地に入ろうとしたのか理由が分からないと言う。
ただふと思って左折をし、思ったように走ってみただけ。
でも途中から「もう帰れない」ような気がしてきたので頭の中は軽くパニックだったとか。
時間を確認するとさほど長くは経っていなかった。

ちなみに旦那は方向音痴ではないし、むしろ独特の勘が働くから迷うことなど今まで一切なかった。
月を見た陸橋あたりから家までの地理もほぼ把握していて、私を乗せてその周辺を何回か走ったこともあった。

「月に惑わされたかねぇ・・・」なんてぽつりと言っていたけど、ただ一つ、路地に迷い込んでから「決してバイクから降りてはいけない」と強く強く思ったらしい。

もしエンジンを切って降りていたらどうなっていたんだろうなぁ。
そしてあの町並というか空間は何だったんだろう。
未だに不思議で薄ら怖いと思った経験。

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