薄暗い世界に、幅5mくらいの階段が延々と続いていて、そこを一生懸命昇っている。
前を見ても延々と続く階段、後ろを見ても延々と続く階段で、左右を見ても何も見えない。
どれくらい昇ったのか見当も付かない・・・。
そんな事を考えたせいか、すごく疲れた。
俺は座り込みながら、今上ってきた階段をしばらく眺めていた。
早く昇らなきゃ・・・。
立ち上がり、また延々と続く階段を昇り始めた。
ここで目が覚めた。
数日後、続きを見た。
また階段を昇ってる。
延々と昇っている。
ふと、自分の手を見た。
皺(しわ)だらけの手に驚く。
いきなり老人になっている事に気が付く・・・。
歳のせいだろうな・・・。
もう昇れない・・・。
もう疲れた・・・。
座ろうと思ったとき、よろけてしまい、階段の上に倒れこむ。
幸い、転げ落ちる事は無かったが、もう起き上がる元気は無い。
夢の中なのに、ものすごく眠かった。
そんな時、どこからか声が聞こえた。
女性の声だ。
「もういいのよ。おつかれさま。ゆっくり休んでね。」
その言葉を聴きつつ、夢の中で寝てしまった。
ここで、はっと目覚めた。
たぶん、老人の俺は、その階段で死んだんだろうな。
階段は俺の一生なのかもしれない。