ばあちゃんは四国の山奥に住んでた。
ばあちゃんが若い頃、地区の運動会で大活躍をしてたら、いきなり左膝が痛くなって、みるみる腫れ上がって動けなくなった。
こけたり、ぶつけたりもしていないのに・・・。
医者に診せても原因分からず。
わざわざ山を下りて町医者にも見せたけど、分からなかった。
それで親戚の山伏のおっちゃんに診てもらったら犬神が憑いているという。
護摩を焚き祈祷してたら、ばあちゃん失神・・・。
意識ないのに、男の声と老婆の声でしゃべり始めた。
それは近所の犬神持ちと言われてる××家の長男と婆さんの声だったそうだ。
曰く、この女が目立つのが妬ましい。
で、山伏がばあちゃんの身体から出ていくように一喝すると、長男はわりと素直に出ていったけど、婆さんが出ていかない。
山伏は、老婆の声で喚きながら暴れるばあちゃんの体を熾った炭の上で引きづり回し、婆さんを叱りつけ、やっと出ていかせたそうだ。
壮絶だなーと思ったが、割とよくある事だったみたい。
その××家はよく咬むことで有名な犬神家だったんだって。
犬神憑きの家って言われると、普通の家とは婚姻できなくなるんで、犬神同士とか他の曰く付きの家同士でくっつくんだって。(血が濃くなりそうだ)
その婆さんも、山一つ向こうの蛇神憑きの家から嫁に来たそうだ。