昔流行った都市伝説の題材になった詩です。
朗読すると呪われる、とか・・・。
作者は西条八十。
「青い山脈」や「同期の桜」の作詞者として有名です。
この詩が収録されているのは1919年に出版された「砂金」という詩集。
著名な作詞家の詩ですから、当時のファンはこの詩をよく知っていて、朗読した人も中にはいるでしょう。
その人たちが無事だったかどうかは現代に伝わっていません。
自宅でもできる気軽な肝試しとして朗読してみてはいかがですか。
たいしたことありませんよ。
姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。