ちょっと書かせて。
昨年、父が死んだ。
葬祭場で通夜を済ませた晩の出来事。
お袋と俺が泊り込んだ。
父の棺も一緒だよね。
で、風呂に入って翌日の葬儀の最終打ち合わせをしたりして。
お袋は先に寝た。
俺、挨拶原稿の最終確認をしたり、タバコ一服したりして少しぐずぐずとね。
布団に入って、あれやこれや考えたり、思い出したりしていたら2時を過ぎた。
寝るのを諦めて、寝返りをうっていたら、葬祭場の通路から色々な音が聞こえてきた。
ガシャン!とかドスン!とか・・・金属音が一番多く聞こえた。
守衛さんは「24時でドアを施錠したら仮眠する」、と言っていたのを思い出して「????」状態。
なんだろうね・・・と思っていると、なにやら臭い。
香と死臭のともに濃い奴が混じった匂いだと気づいた。
オヤジにチョッカイ出しに何かが来た!?と思いついた。
布団から出て、棺の横に胡坐(あぐら)をかいて。
怖いんだ、正直。
で、タバコをチェーンスモークしてた。
布団から棺まで8メートルくらいかな、ここは臭くない。
渦巻状の線香の香りと自分のタバコの臭いだけ。
それに気づいて布団側(お袋が寝ているほう)に行ったら、やっぱり臭い・・・。
さっきより酷くなっている。
棺の脇に戻って、じっとしていたら通路をガシャガシャと歩く音。
よろいの音?かなり長い事いったり来たり繰り返していた。
いつの間にか音が止んで、俺はずっと棺の横。
匂いがたまらなく嫌だったから、動きたくなかったんだ。
うとうとしていたら、窓を覆っていた障子が開く音がした。
お袋があけているのが見えた。
声を掛けたけど無反応。
窓も開けようとするんだけど、なんだかぎこちない。
普通のサッシなのに。
近くに行ったら、目を瞑ってるんだ。
ギョッとした!!
揺り動かしたら、眼を開けてキョトンと俺を見た。
「疲れているからだよ」、と当たり障りないことを言って寝かせてね。
眠気が吹っ飛んだ。
夜明けが待ち遠しかったよ。
死臭と解った理由だけど。
俺、狩猟で山に良く入る。
本当はいけないんだけれど、獲物の内臓とか捨てていくハンターもいるんだ。
部分的に(良い部分の肉ね)とって、あとはほっちゃる奴もいるから解るわけ。