“俺”から無言のメッセージ

カテゴリー「不思議体験」

去年の今頃、俺が友達のTの部屋に居た時の事。
時間は午後の3時くらいだったと思う。
友達はネット、俺は漫画を読んでだらだらしていた。

そんな中突然Tが「何だぁ?」と声をあげた。

俺:「どうした?」

T:「いや・・・ちょっと画面見てみ」

そう言われてディスプレイを覗いてみると、何の変哲もないホームページが写し出されていた。
右上にはICQのメイン画面がある。

俺:「このページがどうかしたの?」

T:「違え違え、ICQのとこ!」
※【ICQの意味】:イスラエルのMirabilis社により開発されたインスタントメッセンジャー

意味が分からず視線をそちらに移す。

ICQをしてる人なら分かると思うが、メイン画面にはメッセージを交わす相手のネームが並んでいる。
オンラインの人は青字、オフラインの人は赤字で・・・。
そこでおかしなな事に気付いた。

俺:「アレ?何で俺がオンラインになってんの?」

そう、俺のネームがオンラインの青字の所に並んでいたのだ。

T:「な!変だろ?さっきあがって来たんだけど」

俺がここにいるのに俺のQがあがるはずがない。
まるでわけが分からない俺とTはとりあえず“俺”に向けて適当なメッセージを送ってみた。
俺とTはこの異常な事態に興奮状態になっていた。

しばらくすると返事が返ってきた。
勢い込んで見てみるとそこには送ったメッセージがそのまま書かれているだけだった。
また送ってみても結果は同じ。

さすがに気味が悪くなった俺は家に電話をしてみた。
俺の家は3人家族で親は共働きなのでこの時間家には誰もいないはずである。
案の定、誰も出ずに電話はFAXへと切り替わった。
こうなったら家に帰るしかない。

俺:「俺、ちょっと家帰るわ」

Tの家から俺の家まで原チャリで15分。

当然家には鍵が掛かっており、俺の部屋も普段のままだった。
パソコンは消えており、俺はTAの子機でネット接続をしているのだが、それのコンセントも外れたまま。
ネットに繋がるはずのない状態だった。

パソコンを起動し、TAのコンセントをつないだ。
タスクバーにあるICQのアイコンをクリックする。
見慣れた起動画面。
その途端・・・。

パチン!と音がして画面が真っ暗になった。
どのキーを押してもパソコンはまるで無反応。
仕方なく再起動させもう一度Qを起動させるとパチン!また画面が黒くなった。

もう一度同じ事を試みたが結果は同じ。

かなり怖くなって来た俺がTに電話をしてみると、俺が出てって10分後くらいに“俺”は落ちたそうだ。

ただし落ちる前に“俺”から無言のメッセージが立て続けに10回くらい来たらしい。
電話越しにもTがびびっているのが分かった。

その後もQを起動させる度に同じ状況に陥り、腹が立ったのでICQ自体アンインストしてしまった。
その頃はもう身内くらいとしかQをやってなかったので支障は無かったのだが。

ちなみにそれ以外でパソコンに目立った不具合は生じていない。
あの時ICQをしていた存在が何だったのか、今思い出しても背筋が寒くなる。

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