もう二十年は経っていますが、あまりに嫌な思いをしたのでここでお話します。
当時、お付き合いをしていた男性と半同棲をしていたのですが、初めてその部屋に入った時から嫌な重みがあったのです。
ですが、私もまだ10代だったので「好き」という気持ちのほうが多かったのでしょう・・・無視していつまでも居座っていたのです。
何度か寝ているときに変な音がしたり私達以外の気配はしてました。
でも、決定的な”何か”が居ると私だけが知ったのです。
※相手はスタンドで働いてその部屋は仕事場の目の前のマンションの1DKでした。
その日も同じ様な時間を彼と過ごして私達は眠りについたのでしたが、私はどうしても眠ることが出来なかったのです。
だって、私達以外の誰かが居る気配がするんです。
そして私に自分の存在を知らせようとしているんです。
まずは、お風呂でたまたま残していた湯船に手を入れてその後「ポタポタ」と音をワザとたてて落とすのです。
でも、私は気付かない振りをして寝ていました。
次はガラス張りのキッチンとの格子戸をガタガタっと人が体当たりした位の大きな音をたてたのです。
さすがに彼も起きると思ったのですが、死んだように寝ていました。
私は「だんだん近付いている」と怖くなったのです・・・。
「もう嫌っ」と思って布団を被っていました。
すると、私達の周りを爪で掻き毟る音がしたのです。
短い毛足のカーペットを這いずりまわる感じで・・・。
「ガリガリッ。ズルズルッ」
それを私達の布団の周りを何週もするのです。
何時間が経ったのかも解りません・・・。
当然眠れなかったし、布団を被っていましたが、明け方の日が出て来たことに気付いたのです。
すると、ベランダに向かってカーペットがきしむ音をさせながら出て行ったのです。
私も緊張感が無くなったのか、その後の事はわからないくらい寝てしまいました。
起きたら彼は仕事に出ていました。
疲れきっていましたが、私は何気なくすぐ下の(私達の部屋は2Fでした)お店に行ったら本当に偶然に慕っていた先輩が働いていたのです。
「こんな処にまで買い物に来るんだ」なんて他愛もない話をしていましたが、ふと「ネエネエ、知ってる?このお店のすぐ上の部屋って何ヶ月か前に水商売をしていた中年女性が亡くなったのよ」と言ったのです。
これで察しがつきました。
彼女の死因は解らないままですが、玄関に向かって出て行こうとした形で亡くなっていたそうです。
這いずり回った音も何も全部その人の死に際の事だったのですね。
最近ですが、たまたまその前を通りましたが未だにマンションはありました。
これはかなり省いて話しましたがフィクションや過剰な話は一切していません。