俺は学生時代、住んでいたアパートで金縛りにあった。
ある晩遠くで(もちろん1Rでほかに誰も居ないはず)なにやら話し声がする。
どこか耳の奥のほうのような、へんな距離感・・・。
体育会系の部活で疲れていたから「うるせぇなぁ」とボソッ。
そしたら突然その声が近づいてきた。
どんどん大きくなる。
とたんに金縛り、指一本動かせない。
近づいてきたその声は、集団でお経をあげていた。
目は閉じたまま開かないので姿は見えないが、お経が大音量で耳の中、いや頭の中に響き渡った。
しばらくすると集団は立ち去り、お経も聞こえなくなって金縛りは解けた。
次の日の朝、同じアパートの別室に住む友人にその話をしたところ、「俺も経験あるよ」、との事。
「しょっちゅうだから慣れっこだよ。ここって何かの通り道なんじゃないの?」って、その友人は笑って答えていた。