小学生の頃の体験談ですが。
林間学習でとある山中のキャンプ場に行きまして、女子は施設のホテル、男子はバンガローに宿泊でした。
しかし、初日の夜、突然、隣のバンガローから悲鳴が・・・。
飛び起きて見てみると、体長150センチぐらいの猪がバンガローを襲ってまして、駆けつけた先生と管理人らがなんとか追い払って事なきを得ました。
翌日、襲われた連中と昨夜の話をしてたら、同室の友人Aが一言、「ありがとうって言うときや」と。
「はぁ?」って俺が聞き返すと、なんかすごい嫌な気配がしてたらしい。
その時、そいつはかなり霊感が強いらしく、以前にもそいつと近所の廃屋に行った時も同じような体験をしたのを思い出した。
その日の晩、妙に寝付けなくて同室の連中と怪談話をしてた時のこと。
ネタも尽きてきて、そろそろお開きって時、何気にAの顔を見た。
いつになく真剣、つーか、かなり怖い表情で窓を睨みつけてて。
「なんかおるの?」
「うん」
「どの辺?」
「2、30M先ぐらいに」
何気に見てみると、確かに白いモヤのようなものが・・・。
「窓に近づくな!」
「なんで?」
「ええから!全員部屋の真ん中に固まれ!」
いまいち状況が飲み込めないまま、とりあえずAの言うとおりにした。
しばらくそのままの状況が続き、その間は特に変わった状況も起こらず。
再び窓の外を見てみると、外にあった(いた?)白いモヤはすっかり消えて鈴虫の音だけが聞こえてた。
「もうおらんよ?」
「いや、気配は消えてへん。むしろ、強くなっ、、、」
「、、、どないした?」
「後ろの窓」
振り返ると、窓辺にさっきのモヤが、少しづつ形を変えながらそこにいた。
・・・だんだんと人の形になりながら。
あまりの恐怖のせいか、それから目を離すことができずにいた。
顔と思える部分に一筋の線が入り、その線がだんだんと開かれていくのが見えた。
「、、、口?」
「見るな!目ぇつぶれ!」
Aに頭を床に押し付けられ、その痛みが引き金になったように涙があふれ出た。
その時笑い声が聞こえた。
男とも、女とも聞こえるような声が・・・。
その瞬間、轟音と衝撃が襲ってきた、何度も、何度も。
その音はそれがいた方向から聞こえていた。
何回続いたろうか。
しばらくすると人の騒ぎ声が聞こえてきた。
バンガローの扉が開き、担任の先生がものすごい表情で飛び込んできた。
先生の顔を見て安心したのか、全員泣きじゃくってた。
むろんAも含めて。
先生らの話を聞いてると、猪に襲われてたとの事だった。
昨日Aが言った事を思い出した。
「ありがとうって、、、」
「うん。あいつが来てくれへんかったら、どないなるかと」
Be the first to comment