その光景が酷くて吐いた

カテゴリー「心霊・幽霊」

高校の時の話。

学校の帰り道に友人と歩いてるいる最中に、「キーーーーッ、ドン!」と言う音が聞こえて、振り向いたらバイクと車が事故ってた。

その光景が酷くて吐いた・・・それほど凄まじかった。

車と電柱の間にバイクが挟まれており、バイクの運転手は、車のボンネットの上に背中が折れ曲がった状態で乗っていた。
フルフェイスじゃ無かった為か、カクンと垂れている顔は、一度電柱に接触して跳ね返され、擦り傷と打撲で片面だけグチャグチャになっていた。

しかも、ちょうど俺らは「ドン!」という音と同時に振り返ってしまったので、まだピクピクしている状態で、片面の目からドロっと液体が見えているのを見てしまった・・・。

数秒後にいきなりバイクの運転手は、体を動かそうとするかのようにガクガクとなり呻きながら、「ぐがぁあ」と何事かを言っていた。

車の運転手は、直ぐにボンネットを確認して救急車を呼び、必死でバイクの運転手に呼びかけていたが、数分ピクピクとなった後に動かなくなった。

救急車が来て運ばれて行った後に、警察が検証をしながら目撃者を探していたので、たまたま居合わせただけだが、俺らは事情聴取で色々聞かれた。

もちろん、ぶつかった後しか見ていないため、「音しか聞いてません」とだけ言い、そのまま帰った。
その日の夜のローカルニュースで、その事故のニュースが流れ、バイクの運転手が、搬送先の病院で亡くなった事を聞いた。

その次の日、友人は休んだ。
あまりにも精神的につらかったらしく、かなり吐き精神衰弱のような状態だった為、病院に行ったらしい。

前日と同じ道で帰宅して、電柱の下に花やビール、タバコなどが置かれていたのを見つけた。
ただ、ふと電柱を見ると、ちょうど自分の体の胸あたりに赤黒いシミが見えた・・・。
一瞬どきっとしたのは、そのシミが人の顔の半面に見えたから・・・。

よく見ると赤黒いシミにしか見えないのだが、目を逸らしてスッと再度目を戻すと、一瞬だけ人の顔に見える。
昨日の今日だったので見てて気持ち悪くなり、一度手だけ合わせて帰った。

それから数日後、変な噂が流れ始めた。

「なぁ、知ってる?あそこの電柱のシミって、夜になると呻くんだよ」
「明け方にあそこを散歩していた爺さんが、電柱の前で立ってる顔のグチャグチャな霊を見たんだってさ」

・・・と言うような噂だった。

俺や一緒に見た友人は、馬鹿げてると思ったのと、直接見ただけに想像するだけで怖くなっていたために、あまり積極的にその話には加わらなかった。

それからさらに数日後、クラスの奴が声をかけてきた。

「あのさー、A先輩(不良ぶってるDQN)が、お前ら呼んでこいってさ」と俺と友人に言った。
どきどきしながら行くと、「お前らが見たことを全部教えろ」とのことだった。
めんどくさかった為、「音を聞いた以外見てません」と言うと、その先輩が「今度肝試しに夜にそこに行くから、お前らも来い」と言われた。

Aとは一度も話した事もなく、しかも、俺らがその事件の目撃者だったと言うのを、どこから聞きつけたのか知らないが、少し苛々した為、「絶対に行かない」とだけ言って帰った。

その日の夜8時ごろに、Aから電話がかかってきた。

『おう。お前のクラスの奴に電話番号聞いた。今お前の友人と一緒にいるから、お前も電柱のとこに来い』

・・・いきなり捲くし立てるように言われた。

「いや、夜も遅いので出れません」と言うと、『お前学校でぼこるよ?苛められてもいい?お前の代わりに友人の方ボコろうか?』と脅しまで始めた。

流石に頭に来て、「お前、マジで調子にのるな、ボケ。殺すぞ」と言ってしまった。(喧嘩なら負けないと思ってたので)

その瞬間に『ピイィイィイッーーーー』と受話器から音が鳴り、『助けて』と聞こえた。

友人が殴られたのかと思い、「おいって、今から行くから何処に居るんか?」と尋ねると、『死にたくない・・・痛い。顔がイタイ。うわぁあああああ』と叫び声が聞こえた。

さすがに異常だったので、「何してるんですか?今から行くから、何処に行けばいいのですか??」と敬語に戻して聞くと、『見たんでしょ??死ぬ時助けてあげなかったでしょおよ?』と笑いながらAが言い出し、『お前が来ないならこっちから行くよー』と言い電話を切られた。

すぐにAと一緒に居るだろう友人の携帯に電話をすると、『どした?え?Aから?知らんよー、俺家に居るよ?』と言う。
つい先ほどのAからの電話の話を友人にすると、『悪戯でしょ』との事だった。

それから30分後に、友人から焦った様子で電話があった。

『家の前にAが来てる!!!!』

ただ様子がおかしく、Aは友人の家の前に在る電柱の下から電話してきて、『外を見ろ』と言って、部屋から外を見るとニヤニヤしたAが「出て来い」と言ってるらしい。

友人は喧嘩などには全く無縁で、出て行くのは怖いらしく、両親にも言いたくないらしい。
その為、俺が行くから待ってるように言い、自転車で友人の家に向かった。

向かってる最中に友人から電話があり、『A帰ったみたい』と言われ、「今向かってたのに」と言うと、友人が『じゃあ、一回家おいで。菓子ぐらいだすよ』というので、友人の家へ向かい、菓子を食って帰ろうとした時に、友人の家の前の電柱に人影が見えた。
さすがにそれを見たときは驚いて叫んでしまった!

その人影は電柱に巻きつくようにくっ付いており、片方の顔を電柱にこすり付けて、電灯で白くなってるもう片方の顔を、にやぁっと笑いながらこっちを見ていた。

直ぐに家にもどり、友人の親に説明し警察を呼んだ。
警察が来た時にはそこに誰も居らず、俺は安全の為に友人の家に泊まる事になった。

次の日学校に行くと、Aが交通事故で病院に運ばれていると、クラスメイト(Aに俺と友人の電話番号を教えたやつ)が教えてくれた。
こいつの話では、Aや彼の知り合い数人で事故現場に行き、俺と友人を怖がらせようと考えていたらしい。
しかし、Aが電話してる最中にいきなり変になり、バイクに乗って電柱に突っ込んだとか・・・。

ただ不思議なのが、Aは友人の家に電話はしたが、来てないとの事で、あれが何だったのかは未だに不明。
俺は直接Aを見てないが、電柱にすりついてる何かは見ているので、誰かの悪戯か、若しくはAはただ休んでるだけじゃないか、と思ってた。

それから数週間後に、Aが退院して学校に来た。
Aが入院してたのが嘘じゃなかったって言うのは、顔をみればすぐに分かった。
彼の顔は手術で皮を貼り付けており、左側だけ歪んでいた。

友人の家の前で見たのは何だったのかは不明だが、怖かったので、念のため友人と俺は花を買い、お供え物を電柱のところに置いて、お祈りをした。

今現在でもその電柱には黒いシミがあり、その前の道路では事故が多発している。

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