GW中に爺様、婆様の家に行った。
婆様は看護婦だった。
私:「何か怖い話しない?」
婆様:「う~ん、ないねぇ。何号室の誰々さんが出たとか、解剖の後に人魂が・・・とか聞いたけどねぇ」
私:「そっかぁ」
婆様:「ナースステーションに何人かでいたとき、カラカラって病室のドアが開く音がしたり、車椅子のキィキィって音聞いたくらいだねぇ」
私:「(それ十分怖い)病院以外でなんかない?」
婆様:「そうだねぇ・・・」
で、何個か怖い話しを聞かせてくれた。
婆様:「アンタが小さい時死んだMおばちゃん覚えてるかい?Mおばちゃんねぇ、死んだ後2~3年この家にいたのよ」
私:「Mおばちゃんってニャン(猫の名前)飼ってたおばちゃん?」
婆様:「そうそう。なんだかねぇ、未練があったんだと」
以下、婆様の話。
Mおばちゃんは生前、とても優しいおばちゃんだった。
あくまで他人に対しては、優しかったが、身内である兄弟には一切心を閉ざし、口を利かなかった。(それには訳があるけど省く)
Aおばちゃん(Mおばちゃんの妹?)とは特に仲が悪く、会えば必ず喧嘩をする程だった。
そんなMおばちゃんが病気で亡くなった。
病気のことを誰にも言わず、一人でひっそりと家で息を引き取った。
婆様は娘二人と遺品を整理したが、遺言らしき物は見つからなかった。
ボケもなくしっかりした人だったのに・・・と婆様は納得できなかった。
結局Mおばちゃんは、他人を信用していなかったようだ。
長女(母):「遺言を書くってことは死を認めることだから、書かなかったのかもねぇ」
次女:「お母ちゃん(婆様)にくらい、何か言っとけばよかったのにねぇ」
婆様:「惜しい人を亡くしたねぇ」
葬式等も終わり一段落付いた頃、婆様の家でおかしなことが起こり始めた。
屋根から「コン、コン」と音がしたり、外にある物干し竿がガタガタガタっと誰かに揺らされる音が出たりした。
外へ出ても雨も降っていないし、何か揺らす物もなかった。
おかしな事が2年以上続いたある日、Aおばちゃんが倒れた。
病気も何もなく、原因不明だった。
危篤状態が何日も続き、かなり危険な状態にあった。
Aおばちゃんの娘さんは霊的な物だと思い、そういう物を見る人の所へ行った。(霊媒師な何かだと思われ)
娘さんは一人じゃ心細いっつーので婆様も付き添いでその人のところへ行った。
娘さんがその人(霊媒師/仮にBさんとする)に説明し終わると、納得したように頷き、婆様にこう言った。
Bさん:「お願いがあります。」
婆様:「はぁ、私にできることなら・・・」
Bさん:「何年か前、あなたに関わりが深い方が亡くなってませんか?」
婆様:「えぇ、2年程前にMというのが亡くなりましたが・・・それが何か?」
Bさん:「その方とこの娘さんのお母さんは、仲が悪かったでしょう」
婆様:「はい、とても・・・」
Bさん:「そのMさんはですね、とてもゴウの深い人(未練のある人)でね・・・一番上が天国、あるいはあの世だとしたらMさんは一番下にいる人なんです。とてもじゃないけれど、今のままでは成仏できない。まだ遺品や何やら、Mさんの家に置いてあるでしょう?」
婆様:「あらかた整理はしたんですが、まだ残ってます」
Bさん:「すぐこれらをMさんに持たせて(供養)下さい。それから、生前Mさんが好きだった物をお供えして、お供えした物は海に捨ててください。」
婆様:「あの・・・それとAさんと何か関係があるのでしょうか?」
Bさん:「Mさんは、Aさんを向こうへ・・・あの世へ連れて行こうとしています」
婆様:「え!?」
Bさん:「MさんはAさんの肩に憑いています。このままではMさんもAさんも報われません。逝くところへも逝けません。どうかMさんの遺品をMさんに持たせ、お供えをしてください。お供え物は1週間に1度。お供え物はその日のうちに海を捨てる。これを3ヶ月程続けて下さい」
婆様はBさんに言われた通り遺品を供養し、お供えを続けた。
その間に何度かMおばちゃんを家で見たそうだ。
婆様:「Mちゃん、どうして?アタシはMちゃんのために教会にお祈りもしに行くしお供え物もしてる。なのにどうしてまだいるの?早く向こうへ逝っちゃって!」
婆様はMおばちゃんを見かけるたび、こう言ったそうだ。(Mおばちゃんはキリスト教だった)
Bさんの言うとおりにしたからなのか、あるいはAおばちゃんが頑張ったのかはわからないが、Aおばちゃんはなんとか回復した。
婆様:「Mおばちゃんの着物や何やらはまだ残ってたし、ニャンはウチにいたから気になったんだろうねぇ」
私:「ニャン、誰にも懐かなかったしね・・・Mおばちゃんが好きだったんだろうね・・・」
私も婆様もこの話しをしながら泣いてしまった。
この話を聞いた夜、どうやら私ら(私と従姉妹家族)が来たせいかMおばちゃんが家に来たっぽい。
夜中まで私一人で起きていたら屋根を歩く音がした。
始めカラスが屋根にいるのかとも思ったが、どう考えても人が歩く音だった。