ドラミちゃん

カテゴリー「心霊・幽霊」

独身で一人暮らししてた頃、たまに行くスナックがあったの。
50代後半のママさんが一人でやってらして、お腹が空くと鍋焼きうどん出してくれるような・・・暖かな昭和の香りがするお店。

当時、私は旅行業に勤めてたのでママさんがお盆にお墓参りにいく旅行の手配とかもしてた。
お盆明けにお店に寄ったら、宿泊したホテルで異音がしたけど、何かいたのかな~って言ってたので
ご先祖様が喜んで出てきたんじゃね?なんて笑ってたの。

で、10月の終わりごろにいつもの友達とはしごして、深夜に近い時間にその店に行ったんだ。

その日は先客にカップルが一組だけで、過疎ってるなと思いながら飲んでたの。
私はL字型のカウンターの左端の角近くに座ってて右横に友達、少し空けてその隣がカップルって配置、ママさんはカウンターの中。

しばらくしてカップルの男性がカラオケで歌い始めた時、左斜め前におばちゃんが座ってるのに気付いた。
年配の方なんだけど、ニコニコしながら手拍子足拍子、全身でリズム取りながら盛り上がってる。
色白でぽっちゃり体型、小柄なのでカウンターの高い椅子に座ってると、もうドラミちゃんがジタバタしてるようにしか見えなくて、すごく可愛かった。

目が合ったので笑って会釈したら満面の笑顔で何度も会釈してくれた。
歌が終わってからも、ずっとママさんを見てニコニコ。

しばらくして店の裏口のドアが開いて閉じる音がして、気付くとおばちゃんはいなくなってた。

ママさんいつも裏口は施錠してるから「今の何!?何でドアが勝手に!?」って皆が騒ぎだしたので、「さっきまでここに座ってたお客さんが帰ったんじゃない?」って言ったらさらに騒然となった。

どうやら誰もドラミちゃんを見てなかったようで・・・。
最初は信じてもらえなかったんだけど、おばちゃんの服装や体型、人相や年のころなどをこと細かに説明したら、ママさんが泣きそうになって「可愛がってくれた叔母さんにそっくり、今年やっとお墓参りに行けたんだよ」って。

きっとママさんが心配で、お店の様子を見に来たんだねって皆でほっこりした。

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