行いの問題があった

カテゴリー「心霊・幽霊」

私が通っていた音楽学校は、お稽古事としての音楽教室の他に、音大受験コースがありました。
その受験コースには4人の先生が常勤していて、A先生は、一番の古株。
表面上は優しく見えますが、陰険で嫌味連発。
気に食わない生徒には厳しく当たり散らすと評判でした。

B先生は、とにかく厳しいと評判でしたが、その分、音大合格率が群を抜いていました。
C先生は、A先生の弟子、全く叱らない先生で、いつもニコニコしていますが、良くも悪くも生徒に深入りしないと評判。

D先生は、こわもて。
変な体育会系というか、上下関係にうるさく理不尽と評判。
生徒潰しで有名でした。

私は・・・なんとかしてB先生のクラスに編入してもらえました。
評判通り、B先生はとても厳しくて、レッスン中に悔し涙をこぼしたことも何度かあります。
それでも3ヶ月ほどB先生のレッスンを受けているうちに、私の中に変化が起きていました。

実は私、小学5年ぐらいから、週に1回のペースで金縛りに遭っていたのですが、B先生のレッスンを受けるようになってから、金縛りを一度も起こしてないことに気付いたのです。

7月の夏休み前にサマーパーティーがあるのですが、そこで私は冗談めかしてB先生に言ってみました。

私:「B先生のレッスン受けてから金縛りなくなったんですよ。先生って凄いですよねー。オバケも逃げていくんですから」

B先生はドキッとした顔をした後に、「それは君が人間的に成長したからだよ。ただ、ひとつだけ。君の部屋に古いダンボール箱あるよね?それは早く捨てておきなさい。使う用のない箱を部屋に置くのは良くないよ」

私は(え?先生、何言ってんだろ?)としか思わなかったのですが・・・。

帰宅して確認してみると、たしかにタンスの上に中くらいの段ボール箱が組み立てられたまま、放置されていました。
小4の時、この家に引っ越してきた時のもので、それ以来、置きっぱなし・・・。

その後も、B先生から不思議なアドバイスをいくつか貰いました。
言われている時はわからないのですが、帰宅して確認するとその通りの繰り返し。(ここらへんについては割愛します)

その後、B先生の厳しい指導の甲斐もあって、B先生クラスのほとんどは音大に合格。
私も合格して音楽学校を卒業。
音大に行ってからは、教授の個人レッスンなどで忙しく、音楽学校とは疎遠になっていました。

音楽大学を卒業してからは、B先生とは年賀状だけのやりとりになっていたのですが、私が28歳の時、音楽学校時代の友人の披露宴二次会でその後を知りました。

音楽学校は、その後、生徒数減少もあって規模縮小することになったのですが、その時、A先生がC先生とD先生と組んで、B先生の追放を計った、と。
B先生は、あっさりと音楽学校を辞職。

人気講師だったB先生がいなくなったことを喜んでいたA先生ですが、音楽学校の教務室で突然の心臓発作で亡くなり(他の持病はあったようですが、心臓は元気だったそうです)、その後、C先生とD先生は、一緒に酒を飲んだ帰りのタクシーで事故に遭い、二人とも半年近く入院の重傷。
女性事務員の一人に喉頭ガンが発見され、生まれ故郷で入院のため退職。
若い男性事務員の一人は、休日に自転車に乗っている時にトラック巻き込み事故に遭い、両脚の膝から下を切断の大怪我。
古株の男性事務員は、就業中に突然の頭痛を訴え救急車で搬送。
脳腫瘍が発見され、手術困難な部位らしく、社会復帰は難しい、と退職。

なんと、これら全ての病気や事故・怪我が、B先生退職後の1年半の間に起きていたのです。
そして、音楽学校も閉校・・・。

その話を聞いた半年後に、私はB先生が音楽監督をやった演奏会を、たまたま観に行きました。
そこで約束を取り付け、後日、B先生とランチをご一緒した時に、気になっていたことの全てを伺いました。

私:「先生は、霊感とか、そういうのがあるのですか?」

B先生:「私は、視えないよ。ただ、音が聴こえることがある。君の段ボール箱の時は、ガサガサとした音が聴こえた。多分、段ボール箱だな、と思って言っただけだよ」

私:「あの段ボール箱になにかいたんですか?」

B先生:「多分、ネズミかイタチだろうな。小物だったから、段ボール箱の処分でどうにかなった」

私:「私の金縛りが消えたのも、なにか関係があるのですか?」

B先生:「それは、私の生徒だからだ。私の生徒にちょっかいは出させない。私が強くそう思えば、そうなることを、経験的に知っていたからね」

私:「A先生が亡くなったり、他の先生や事務員に事故が起きたことと、B先生はなにか関係があるのですか?」

B先生:「あるといえば、ある」

私:「まさか、呪ったとか?」

B先生:「そんなことはしない。あの学校の土地が最悪だったんだ。私が勤めている間は、私が抑えこんでいた。しかし、私は辞職したからね」

私:「じゃあ、B先生が残っていれば、みんな、無事だったとか?」

B先生:「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ、C先生とD先生や、事務員を引っ張ったのは、A先生だよ。元々、土地が腐っていた上に、A先生の執着が絡んでしまったから起きた不幸だね」

B先生は、とても淡々と語ってくれた。

私:「最後に・・・・・・先生は、なんで、そんなに冷静にお話できるんですか?人が死んでしまった事実があるのに」

B先生:「土地に因縁があったとしても、本人が巻き込まれないように善き行いをしていればいいんだ。だが、A先生は巻き込まれた。それはA先生の行いの問題であり、責任だ。そして、A先生が悪霊になって引き込んだとしても、悪霊に巻き込まれた人間にも行いの問題があっただけだ」

私:「そんな・・・・・・ちょっと厳しすぎませんか?先生が抑えこめるなら、抑えこんでいれば・・・・・・」

B先生:「結局ね、あの土地が、私を追い出すように仕向けたんだよ。その土地の因縁に、A先生は飲み込まれた。そして、そんな土地にしがみつく理由は、私にはない。なによりも、こんな話、誰が信じる?」

その後、私は結婚し、子供をもうけました。
B先生に結婚式の招待状をお出ししたのですが、仕事で外国へ長期出張されているため、出席はしていただけませんでした。
B先生とのご縁は、あのランチで切れてしまいました。

そして、先日、音楽学校のあった近くをタクシーで通ったら、既に新しいオフィスビルが建てられていました。

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