夏の話。
通ってた高校の近辺に見晴らしが良い場所なのに、毎日のように事故が多発していた十字路がありました。
歩行者が巻き込まれるようなのは無いけど、どれも車同士がぶつかるといったものばかり。
奇跡的に亡くなった人はおらず、その原因をなんとなく私は見ていた。
そこは通学路なので、自転車でその横断歩道を渡る時必ず下を見て通る。
白いワンピースで広い帽子を被った女の人がその十字路の電信柱に立っているのを知っていたからだった。
赤信号で待っている間電柱に立っている彼女と隣同士になってしまう時もあったけど、(よくある怖い思いをするパターンになりたくなかったから)決して隣を見なかった。
基本その女の人はただ立ってるだけで、立ってる場所は違う時もあるけどずっと車を見てるだけでした。
ある日従姉妹が帰宅中に事故に遇い、幸い怪我は無かったが車はベコベコ修理コースだった。
そんな電話を受けたお母さんが「どこで事故やったの?」と訊くとあの十字路だった。
お母さんは事故った車を清めに向かい、私も暇だったので付いて行きました。
日本酒と塩で車を清め、軽く従姉妹を祓い、「暫くはあの道は使わない方がいい」と従姉妹に言いました。
私はあの女の人の事をはっきりとは言っていなかったのですが、その帰りに「なんで事故ったんだろね?」と訊いてみました。
お母さんは運転しながら淡々と答えました。
お母さん:「あそこ事故多いでしょ?今ぐらいの季節になると毎年あそこにね、白いワンピースの広い帽子を被った女の子がいるのよ。友達と彼氏と4人でドライブか何かしてて事故に遭ってその子だけ死んだみたい・・・その友達と彼氏を探してるんだけど、でもあの子はあの場所から離れられないからね・・・引っ張るんだよ。今回は従姉妹ちゃんも引っ張られちゃったけど、あんたも気を付けるんだよ」
夏休み明けには彼女はいなくなり、事故も起こらなくなりました。
でも毎年夏になると彼女は今でも立っています。