10月の11日

雪の中を通勤中、吐血が止まらなくて道端を転げまわったら、若い研修医みたいな白衣の男性に抱きしめられた。
医者の格好をしてたし、「わたし医師の矢島(仮名)です」とそう名乗ったんだ。
そのときの時刻が朝の7時30分。
痛いことは痛いが、矢島という医師に抱きついていれば気持ちは楽だった。

救急車に乗ってると自覚したのが2007年10月10日正午20分。
様態が激変し間に合わないからと外来に救急隊が突っ込んだ時、顔を出した医師がさっきの白衣の男。

「????ありゃさっきの」と色々言ったが、意識もなくなり寝てしまった。
寝る直前に××大学病院の第○内科とだけ聞こえた。

個室で目が醒めたとき「さっきの先生は?」と聞いたら、初めて見る女医さんが出てきて挨拶をしてきた。
一生懸命「さっきの男性の先生は?」と聞いたが、対応したのは女医さんと看護婦3名で男性はその現場にいなかったという。
個室で起きたのが午後3時30分。

顔もちゃんと見てるし感触もあった。
あの医者の話をするたびに変な顔を周囲にされてしまったが、なんとしてでも見つけ出そうって思ってた。
「夢でも見たんじゃないの」と笑われる・・・。

退院後、倒れた辺りの個人病院や医院に「お礼が言いたい。そちらの先生ですか?」と電話したり訪ねて歩いた。

矢島(仮名)先生という名前には実は心当たりがありました。
故郷の近所の内科医で、80歳は超えてる名医の先生とお名前が同じだったんです。
実家の親に電話して「矢島(仮名)先生に聞きたいことがあるんだけど、まだ医院あるかな?」と聞いたら、「矢島先生なら2007年の10月に突然歩いてて亡くなったのよ。でも90過ぎてたから大往生ね」と言われた。

偶然亡くなった日が10月の11日だという。

どんなに探してもあの周辺には矢島(仮名)という医師はいなかった。
製薬や臨床の営業の友人に頼んで探してもらったが、矢島(仮名)という名前の若い医師はいなかった。

90過ぎて亡くなった医師の矢島(仮名)氏が、××大学病院の第○内科の出身だと後から聞きました。
都合のいい解釈ですが、矢島(仮名)医師が助けに来てくれたんだと思うことにした。

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