俺の場合、霊感は少しあったが、今はほとんど消えた。
過去には、部屋に4・5人の男女が居座ったり、俺の弟(水子)が会いに来たり、金縛りにもよく遭っていた。
そこで、すべて気のせいにするようにして、「来るな、来ても知らねえよ」というように念じるようにしたら、いつの日か感じないようになった。
いや、実際は感じているんだが、何も感じないと言い聞かせている。
ある日、3歳くらいの女の子が布団の足下を飛び跳ねながら一人で遊んでいる。
ママゴトのような一人遊びもしているようだ。
白で赤いラインが入っているワンピースかスカートであることも確認できた。
金縛りも比較的弱く、ほっといたら、そのうち諦めるだろ・・・位にしか考えてなかった。
ところが、毎日のように金縛りに遭い、いい加減に鬱陶しく感じていた。
俺の顔を覗き込んだり、布団の上から俺の足の上を踏みつけたりして遊んでいる。
悪意は感じられないが、基本的にヘタレな俺は話しかけることなどは、怖くてできない。
ただ、知らん振りをするのが、俺にとっての最大の防御だった。
いつものように、また金縛りになり女の子が遊んでいる。
またか、と思っていたら、遠くから鈴の音が聞こえだした。
そして、これまでにはない強烈な金縛りになり、「うわ~なんか別なのが来た」そう思った。
チャリ~ンチャリ~ン。
その音が近づいてくる。
意識を、その鈴の音の方に向けると、不思議なことに、その音の正体が映像でわかった。
家から50m位の道に、お坊さんが歩いてきている。
その鈴の音は、お坊さんの杖からなっていた。
そして、だんだんと家に近づいてくる。
とうとう、玄関の前まで来た・・・と思ったら、玄関をすり抜けて家に入ってきた。
部屋の前に来たときは心臓バクバクで、頭が真っ白になった。
そして、金縛りが更に強くなり、鈴の音が鳴り響き、うるさいぐらいだった。
ヘタレな俺は、「俺何か悪いことしたのか?だったら、ご免なさい!」と念じていた。
しかし、そのお坊さんの目的は俺ではなく、俺の足下で遊んでいる女の子の霊だった。
お坊さんが部屋に入ってきたときは、もう何だか分からない、不思議なパワーで満たされていた。
神々しいというのか、部屋が真っ白とも金色とも言うべきか、そんな光に満たされた感じだ。
そして、その女の子と手をつなぎ、来た道を帰るように消えていった。
そして、鈴の音がだんだんと遠くなり、金縛りが溶けた。
「ありがとうございます」
そう心で唱えていた。
それから、女の子の霊は現れることは無かった。