中古住宅をリフォームして、家族(両親、当時オレ小学6年、妹小学3年)で引っ越した時の話。
金縛りがあったり、廊下でヒタヒタ素足で歩く音がしたり、居間と廊下の戸のガラスに赤い影が張り付いてたり、怖い話にでてくるような怪現象がたくさんあった。
その当時はあまりの非現実感から「うはwww幽霊!」とか怪現象を適度に楽しんでいたけど。
でも、丈夫だった妹が体調を崩したり、母親までパートを休みがちになって、家に篭るようになってしまった。
俺と父親はなんともなかったんで、神社にお祓い頼んだり、お札貼ってみたりしたけど効果がなくて。
俺も学校とか近所で家の噂とか調べたんだけど、死人がでたりとか、特に謂れのある家じゃなかった。
そんな時に、うちの父親の同僚の知り合いの知り合いみたいな人が、「霊能者を紹介する」と若いにーちゃんを連れてきた。
だるだるのパーカーを着て変なテンションのにーちゃん。
俺ら家族をチラッと見て、家の中を一回りして、家の外をフラっと歩いて。
若いにーちゃん:「赤い女がいて、それが女に祟ってる」
若いにーちゃん:「本筋から別れた道ができてしまっていて、そこから入ってきてる」
若いにーちゃん:「さっき道を元に戻したから、もう大丈夫だと思う」
そう言って、お茶だけ飲んでさっさと帰ってしまった。
お金とかも要求されなかったし、一応用意はしてたらしいんだけど、渡す前に帰っちゃった。
お祓いとか儀式とか呪文とかそういうモノもなくて、すごくあっさりしていた。
その晩、家鳴りどころじゃなくて、屋根から何か落ちるんじゃないか、ってくらいのすごい音が一晩中鳴っていた。
パチッ、キシッてレベルじゃなくて、ズドン!バキン!みたいに。
みんなで居間に固まって「ギャーギャー」叫んで、もう夢だか本当だかわかんないくらい恐かった。
何かが家に入ろうとしてるってのが、見えないけど壁の向こうから伝わってきた。
これはお祓い失敗だろ、って父親が半泣きで電話をかけたら、『最後の抵抗をしてるんだよ』『夜が明けるまでには全部連れていくから』と言って、夜明けと共にピタっと音が止んだ。
次の日から霊現象もなくなったし、徐々に妹も母親も元気になっていった。
あの夜にみんなで固まってガクブルしたのは今でも忘れられない。