エレベーターの老人

とある老朽化した雑居ビルの6階に、当時勤めていた会社があった。
昼間でも暗いその会社の中でも、特にエレベーターの痛みがひどく、貨物と人が共用で利用するため、あちこちが擦り切れ、独特の匂いが立ちこめていた。

仕事の納期が迫り、終電近くまで残業する日が増えていたある日のこと。
コンビニで夜食を購入して、オフィスに戻るためエレベーターを待っていると、開いたカゴの中に一人のお年寄りが立っていた。
それも奥の隅にいて、入り口に背を向け、俯くように立っている。

その老人を見た瞬間、電気が走ったように痺れたかと思うと、起きているにもかかわらず金縛りに遭ってしまった。

そのお年寄りからは全く生気が感じられず、一階に着いたにもかかわらず降りる気配がない。

俺は体が硬直しており、激しい耳鳴りが聞こえ始めていた。

そのお年寄りがゆっくり振り向き始めると同時に、「ガタッ」という不自然な音とともにドアが閉まり始めた。

完全に振り向く直前にドアが閉まった。

しかしエレベーターは別の階に移動していない。
まだ一階におり扉が閉まっているだけだ。

体はまだ硬直していたが、ビルの入り口から夜食を購入して戻ってきた同僚が俺の肩をたたき、エレベーターを見て呼び出しボタンを押そうとする。

その瞬間「押すな!」と声が出て、金縛りが解けたのだが、既に呼び出しボタンは押されてしまっていた。

開いた扉の向こうは妙に明るく、先ほどの老人は忽然と姿を消していた。

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