うちの姉ちゃんの話。
オカルトじゃないと信じたいし、集団催眠だと俺は考えてる。
当時俺は5歳くらいで姉ちゃんが中二くらいだったはず。
DQNな姉ちゃんだったけど優しくて、家にいれば普通でよく友達を部屋に呼んでた。
部屋といっても自分の部屋がないから、一番大きな母親の部屋を使ってて、学まっていたら、ある時友人の一人が「あの人形やばくない?」みたいな事を言い出した。
よくあるおかっぱの日本人形で、もちろん呪われてもいないし、いわくすらもない。
いきなり言い出すものだから皆人形を見だして、なーに言ってるんだよ的な事を言い出してるのに、その友人はさらに一言「目を見てると動いてんだよ」って普段見たことない表情で言うものだから、皆真顔になって無言になった。
少し間が空いて、別の友人も「いつも見られてる気がした」と言い出した。
そんなのはありえない。
俺が5年もその部屋で寝てるのに何も無いし、そもそも怖いことを言うんじゃねえ!と、子供ながらに思った。
そして、「何かあるのなら、ちょっとの間見てればいいんじゃないの?」なんて提案を俺が何故かして、皆も同意してくれた。
それで全員が人形の前に座り見続ける事になった。
俺含め5人いて、怖いから俺は見てなかったんだけど、しばらくして4人はぶつぶつ独り言をしだした矢先に、誰かが「今動いた!!!!」って叫んだ瞬間、4人同時にぶっ倒れた。
人形はもちろん動いてない。でも4人ぶっ倒れた。
様子を見ると、トランス状態というか・・・心霊番組のお払いであるようなうめき声。
痙攣、泡を吹く、といったいかにもな感じで、怖くなって別の部屋にいた母親を呼びにいった。
状況説明なんて出来るわけないし、とにかく見て欲しいから早く部屋に連れて行って、経緯を分かる範囲で説明したら、酒と塩を持って来いと言われたので、すぐにキッチンに向かった。
部屋に戻ると、母親が一人一人に話しかけてたけど何一つ状況が変わらず。
俺が戻ってきた事に気づいた母親は、4人に塩を酒をかけて欲しいと言ってきたので、すぐさまぶっかけた。
母親が魚を調理するみたいに酒と塩を揉みこんでいたのが印象的だった。
4人揉み終わって1分ぐらいすると、うちの姉ちゃんが叫び暴れだした。
見たことのない顔をしてたし、声もいつもと違ってた。
他の友人も釣られるように叫び暴れだした。
その場で吐く人もいた。
ますます状況が悪くなり、怖すぎて逃げ出そうとしてたら、母親がおもむろに法蓮華経をあげだした。
そうするとやっぱり暴れだす。
さながら映画のエクソシストみたいな感じに。
その間俺は日本酒をぶっかけ続けてた。
母親は慌てることなく2周3周あげると、段々と静かになって事態は収まりだして、4周目突入して終わる頃には、4人がこっちの世界に戻ってきてたみたい。
泣き出す人、ぼーっとしてる人様々いて、落ち着いてから話を聞いてみたところ、見つめてた時は何もなかったけど段々人形が迫ってきて、動いたと叫んだ瞬間に記憶が飛んだ。
夢のようなものを見てて、人形が襲い掛かってきて体をのっとられそうになった。
何かをかけられた(俺の塩と酒)瞬間体が熱くなって、変な気持ち悪い言葉が聞こえて(たぶんお経)、死ぬかと思ったって言ってた。
そんな話をしている間にみんな落ち着いたらしく、全員で部屋を片付けて解散した。
しばらく経って何事もなく無事だったけど、あの日以来姉ちゃんは家に友達を呼ばなくなった。