しこたま酔っぱらって深夜、終電はるかに過ぎていたので、タク代払うのももったいなく思い歩いて帰ろうと思ったが、引越したばっかりで土地感薄弱な上に、極度の方向音痴であることから、電車で数駅分の距離を線路歩いて帰ったことがある。
酔ってるから一本道の線路上をふらここ歩いて行ったが、前方からスーツを着た人が線路の上を同じように歩いてきてすごくびっくりした。
警戒しながら通り過ぎ、酔いも醒めたところで、また前から同じようなしゃんとしたダークスーツのサラリーマン風の男がやってきた。
怖くなってすげえ走って帰った。
俺が逆の立場で、前から得体の知れない野郎が突進してきたなら小便漏らすな多分。
JRマンの友人に似たような話を聞いたことがある。
鉄道って全部そうなのかもしれないけど、JR駅員って、毎晩終電が終わった後に次の駅まで線路上を点検して歩くんだって。
んで彼が新入社員の頃、先輩と3人で線路を歩きながらふと振り返ったら、背広姿の初老の紳士が線路の上をゆ~っくり横切る姿が見えたんで、ビックリして「あっ!」と声を上げてライトで照らしたんだって。
そのとたん、先輩が怒ったように「見るな!」と声を荒げて足を速めたので、その意味がすぐピンときて、あわてて先輩の後を追ったと言ってた。
その場所は昔から出るので有名で、幽霊の身元も分かってるらしい。
自殺ではなく、50年ぐらい前に事故か他殺で轢死した地位のある男性だそう。
友人は、「暗いのに、なぜか50代後半の男性だとハッキリ分かった」と首をかしげていた。
友人はそれ以降も当直日には真夜中の点検に出て、幽霊らしき影を感じてもじきに馴れて無視するようになったというから、やっぱプロだなあと思う。
今はそれなりに出世してるよ。