多数の死者行方不明者出した東日本大震災。
俺は復興支援で某県に派遣されていた。
俺の仕事は遺体安置所兼相談所で行方不明者家族のDNA採取や遺体管理と施設管理していた。
日中は県の職員一人と県警二人と鑑識部隊六人と応援の俺たち三人と割に人数は多くいた。
日が暮れてからは応援の俺たち三人だけになる。
安置所兼相談所付近には数件民家がある程度で近隣住民は、仕事してる俺達に敬意こそ払ってくれるものの、気味悪がって足速に立ち去り近寄らない場所である。
派遣終了目前に俺の地域ではあまり降らないレベルの大雨が降った。
和歌山奈良で甚大な被害を出した台風12号が大雨の原因で、付近で土砂崩れがあったので気をつけろとの無線が入った。
安置所兼相談所は元々地域の防災拠点なんで、土嚢や防災用品を置いていたので消防団三人がトラックが土嚢を取りにやって来た。
職務に消防支援とか無かったから本来は手伝わなくていいけど大雨の中手伝った。
一段落着いて作業が終った消防団員三人が感謝を言いにきてくれる。
俺たちは大雨の中外に出て六人で雑談を少々した。
消防団員は雨に当たってでも安置所には入りたく無かったみたい。
まあ安置所の外といっても気味悪いよね。
前置き長くなったけど突然暗闇の中に黒い塊が横切ったように見えたからライトで照らしたけど何もない。
見たのは俺だけじゃなくもう一人見たみたい。
他の四人は顔真っ青になってオドオドしてた。
多分怖かったんだろう。
一応敷地内なんで調べないといけないのよね。
調べようとしたら「行くな!」って言われた。
不審な物発見もなかった事にした当然朝になってから調べたけど何もなし。
何だったんだろうか?
派遣では不思議な事はそれっきり。
和歌山と奈良で災害を起こした台風に影響されて津波犠牲者の霊でも現れたのかな?って俺は思ってる。