建築系の友人から聞いた話

カテゴリー「心霊・幽霊」

建築系の友人から聞いた話。

あれはもう20年位前の秋の出来事。
横浜のとあるお嬢様大学の音楽堂の改修工事の時。
現場で仲良くなった監督と職人5人でいつもツルんでました。
音楽堂は2階建で、1Fはホール、2Fはグランドピアノが置いてある練習場。

ある日、監督が2Fで測量するってんで、皆でゾロゾロついて行きました。
ま、測量は一人でやれるんで、監督以外は後ろでくっちゃべってた。

測量を始めて10分位して、監督が「あ、横切らないで」とか「そこに立たないで」とか言い始めました。

みんなは「なんのこっちゃ?」とポカン。
そのうち「あー、もう!」と測量器から目を離してこちらを向いて、「邪魔しないでよー」とご機嫌斜めに。

僕ら:「みんな後ろにいたよ」
監督:「嘘だぁ。何度も誰か横切ったよ」

僕ら:「疲れてんだよ、毎日残業だもん」

なんて会話をしてたら・・・学校に常駐してる警備員さんがやってきて開口一番、「困りますよ、監督さん!」とお怒りモード。

監督:「何かありました?」
警備:「夜間は職人さんにやたら校内を歩かない様に言ってあるじゃないですか!」

監督:「は、はぁ」
警備:「噴水の方からこちらに白い服を着た職人みたいな人が歩いていたんで、追いかけてきたんですよ」

「とにかく頼みますよ!」とまくし立ててお帰りに。

学校の中を簡単に説明すると、敷地は長方形で、校門、噴水、音楽堂、校舎、こんな感じに並んでました。

時間は21時。
しっかりしたゼネコンだから、変な作業員はいないし、噴水の方にはいかない様にみんな注意してたし、残業届け出してたのは音楽堂にいる5人だけ。
白い作業着なんて誰も着てませんでした。

これはマズいなと感じ始め、誰ともなく帰ろうよと道具を片付けて、2Fから1Fへの階段の踊り場まで降りた時、「ポロン」とピアノの音が誰の耳にも届く大きさで聞こえました。(因みにピアノの蓋には鍵がかかってる)

全員ビクッとしたのは言うまでもなし。

「聞こえた?」
「うん」

「白い作業着?」
「うん」

「や、止めよう」
「後ろ見ちゃダメだよ」

駐車場まで小走り、みな無言で車に乗り込み、逃げる様に帰りました。

その次の日からは残業は避け、定時で上がる様にして現場はほどなく完了しました。
あれは何だったろうと今でも思い出す奇妙な出来事でした。

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