ジャージー・デビル

先輩の話。

アメリカ留学中にキャンプに参加した時のこと。
キャンプファイヤーで、ある怪物譚を聞かされたのだそうだ。

今から二百年以上前の嵐の夜、暇を持て余した主婦たちが魔術の真似事をしていた。
悪魔降臨の儀式に差しかかると、突然一人の主婦が抱えていた赤ん坊が姿を変え始める。
顔は馬のように長く、足には蹄ができ、蛇のような尻尾が生えてきた。

背中が大きく膨らむと、皮を破って蝙蝠の羽が現れた。
怪物に変じた赤子は、その場にいた人間を全員食い殺して、飛び去ったといわれる。
この怪物は、母親の名前から「リーズ家の悪魔」と呼ばれた。

面白い伝説だな・・・と先輩が感想を述べると、話はこれで終わっていないと告げられた。
現在に至るまで山や森の中で、引き続き目撃されているというのだ。
それにつれ、名前も「ジャージー・デビル」へと変わったらしい。

家畜や人を襲ったために、大パニックが生じた過去もあるそうだ。
工場や学校が、一時閉鎖されたこともある。

「現に俺たちは、安全のために集団下校をさせられていたんだよ」

話をしてくれた青年は、こう語って肩をすくめたそうだ。

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