今でもあそこにいる男の子

カテゴリー「心霊・幽霊」

わたしが「まるで市松人形みたい」と言われていた頃の話。(褒められてないので、当然のごとくキレました)

エジ○ンの竹で有名な某市の遠縁の家に遊びにいったんです。
仮に『Fさん邸』と呼ばせてください。
Fさん邸はいわゆる洋館で、ずっと団地暮らしだったわたしにはお城のように見えました。
ソファーセットや、バルコニー(都市伝説だと思っていた。ベランダではない)にはきれいなテーブルセットもあって、とにかくおしゃれなお家でした。
竹が有名なところなので、二階のバルコニーからは初夏の陽射しを浴びた竹林が見え、洋館に竹林はミスマッチだけどすごい、と大はしゃぎでした。

最初は初対面の親戚なので遠慮がちにしていました。
お子さまなのでだんだん大人の話にも飽きてきます。
あー、どこか遊びに行きたいなぁ、と思ってふと扉を見ると、わたしと同じくらいの男の子が覗いているのが見えました。

このお家の子かな?じゃあ、案内してもらえるかも!

そう思ったわたしは、母に「お家を探検してもいい?」と聞くと、Fさんが快く「好きに見てかまわないわよ、遊んでいらっしゃい」と優しく許可してくれました。

母の許可も出たので、「夕飯まではFさん邸から出ない」と言う約束で探検することになりました。

わたしが兄と一緒にさっき見た男の子に話しかけると、案内してくれると言います。
男の子の案内でいろんなお部屋に行きました。

男の子:「ここはベランダからいけるんだ」
男の子:「ここは鍵がかかってるけど、ここから入れるんだよ」
男の子:「この部屋にはベッドがあるよ」

そう、男の子はいろいろ案内してくれます。
はじめて見た豪華なベッドに座って、絵本のお姫さま気分を味わったり、オルガンを見せてもらったり、いろいろ遊びました。
兄はベッドでトランポリンごっこをしてました。

外が薄暗くなってきた頃、男の子がしきりに外を指さして、「ねえ、今度はあそこで探検しよう!」と言うのです。
でも母と約束したし、昼間に見た竹林はなんだか恐ろしげで、さすがに躊躇いました。
「じゃあ、お母さんがいいって言ったらね」と聞きに行こうとすると、なぜか男の子が嫌がります。

仕方がないので、暗い階段(スイッチの場所がわからなかった)を下り、Fさん邸のリビングにいきました。

「あら、二階にいたのね。探してたのよ」とFさんに言われ、母にも「これから一緒にお夕飯食べに行きましょうって。せっかくだから一緒に行きましょう」と言われ、優しいFさんとのごはんに釣られて、すっかり男の子のことは頭から吹っ飛びました。

ところが・・・。
ごはんを食べにいく車に、さっきの男の子がいません。

不思議に思って、「ねえ、おかあさん。Fさんのおうちにはおとこのこいる?」と聞くと、母はごく普通に「息子さん?いるわよ?」と言います。

小さいわたしはここですっかり安心して、じゃああの子は今日はお外でごはん食べないことにしたんだ、と納得していました。

それから数年後。
またFさん邸に遊びにいくことになりました。

その時にわかったのですが、Fさんはわたしの大叔母で、わたしが最初にお邪魔した時、息子さんは成人して働きに出ていたこと。
つまり、わたしと同い年くらいの子供はいなかったんです。
遊びにいった理由もあとから聞きました。

「家がどうしても暗い、重苦しい感じだから、お祓いをしてもらおうと思ったの。でもみんなが、そんなお金をお祓いにかけるんだったら指輪でも買えばいいのに、と言うから、Mちゃん(母)に来てもらおうと思ったの(そうした事に詳しい母に相談しようと思ったようです)」

そういうワケあり訪問だったのです。
母いわく、2回目はまるで別の家のように明るい雰囲気だったと。
わたし自身は2回目の訪問のことは覚えていないのですが、息子さんの部屋のベッドの下にある木琴がほしい、とだだをこねたようです。

Fさんは「息子ももう大きくなったし、ぜひ遊んでちょうだい」と譲ってくださいましたが、母には「お家勝手にゴソゴソして!」と怒られました。
ベッドの下にあることは、あの男の子に聞いて知っていました。

今でも時々思い出します。
兄にも見えなかったあの男の子のこと。
手招きされた夕暮れ時の竹林。
あの男の子はどこへ連れて行きたかったのか。
今でもあそこにいるのか。

Fさんはその後お屋敷(わたしの中では家ってスケールじゃなかった)を手放し、もっと利便性のいいところに引っ越しされて、和やかな老後を過ごしておられます。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!