小さい頃からドラムやってた。
5歳からやってた。
実家には自分のセットもあった。
どうしてもプロになりたかった。
上京して音楽学校行って真面目に修行してた。
翌月に大事なライブを控えていたんだが、練習でスタジオ行く矢先、事故に遭ってしまった。
病院に運ばれる途中でうっすら意識があり、ドラムのことばっか考えてた。
これで叩けなくなるかも・・・と思って、かなり怖かった。
学校から実家に連絡が行き、しばらくして両親がかけつけた。
大きなケガではなかったので、まずはほっとしてた。
父がおもむろに「事故にあったのって何時頃だ?」と聞くので、「スタジオが5時だから、アパート4時に出てそれからすぐ」と返答した。
すると父は何とも言えない顔で、「じいちゃんもばあちゃんも、その時間にオマエを見たって言うんだよ」って。
話を聞くと、俺がいきなり無言で実家に帰宅して自分の部屋へ入ったとか。
祖父は庭から、祖母は茶の間から見たとか。
すぐにドラムの音が俺の部屋から聴こえてきて、15分くらいでピタッと止んだらしい。
祖父祖母が不思議に思って俺の部屋にいくと、もちろん誰もいない。
その後しばらくして事故の報告があり、腰抜かしたって言われた。
こういうこともあるもんだなあ、と。
我ながら驚いた。