俺が死ぬほど怖いと思ったのは、ベタだけど母親から聞いた話。
ある日、実家の近くで火事があり、野次馬根性むき出しの姉と母が見にいったらしい。
ただ、消防車が止まっていて作業してるもんだから、どこの家かはわからない。
するとその火事があるだろう近辺に住んでる母の知り合いの家族が、「いや~、びっしょびしょ。困ったー。なぁー母さん。」と、旦那が奥さんに言いながら、家族で母の近くに来たらしい。
母:「大変ですねー。おうち大丈夫でした?」
そう話かける母に「どうだろうなー・・・。全部燃えたかなぁ。おい、もう泣くな!しょうがないだろ。」と、旦那が答えながら「あーつーい!あーつーいのー!!」と駄々をこねてる子供にしかったそうな。
母が「ねー、あついよねー。ここまで熱が来てるからねー。でももう少しで消えるよー。」と言うも、子供は「あつー、あつーい。」と言うので奥さんのほうが困り顔で「すみませんねー。」という感じで頭を下げてきたらしい。
すると旦那が、「よし、家も燃えたろうから今日はどっかで泊まるかー。」と陽気な声を上げて「ではではー」と駅の方へと向かっていったらしい。
奥さんは終始落ち込んだ様子でうつむいてたらしい。
家に帰ってきた母はその旦那に呆れ果てており、「何を考えよるんやろか。自分の家も燃えよるってのに、どっかとまろーかーとか。あんだけ嬉しそうに言うたら、火事出した家族とかにも聞こえるよ。」と言いながら、状況を俺と親父に説明してくれた。
親父は「野次馬もかわりゃせん。」と言い「火事に気をつけろよ。」と寝室へ行ったので、その話はそれで終わった。
次の日、ニュースでその火事の報道があった。
見出しが『一家心中』と書かれていた。
男が、子供と妻を無理やり殺害、とアナウンサーが言っていた。
その家の主は、昨日母と姉が会った、あの家族(幽霊)だった。
今までで一番衝撃的な怖さだったね。
あのニュースだけは・・・。