不気味な集落

カテゴリー「心霊・幽霊」

当時、遠距離恋愛をしていた上、経済的にも苦しかった私。
どうにかして安く神戸(私は東京です)に行く方法はないかと色々模索していて、一度自動車で、高速道路を使わずに行ってみるかと思い立ちました。
これならガソリン代だけしかかからないだろうと。
道も特に何も考えなければ国道1号線をずっと南下すればいいだけなんですよね。

行く時は彼女に会いに行くわけですから、こっちも楽しみだし、長距離のドライブでどんなことが起こるかな、という好奇心もあるからいいんですけど、問題は帰りでした。

来た道をそのまま何百キロも戻るというのは退屈なんですよね。
しかも国道1号線って静岡~名古屋、名古屋~京都と途中何もない退屈な箇所があるんですよ。

そんな時、コンビニの駐車場で少し休みがてら地図を見ていると、あれ?と思ったんです。
国道一号線が何かを回り込むように通っている。
道路地図じゃ分かりにくいんですが、多分山か何かをぐるっと迂回してるんでしょう。
しかし地図を見るとそのまま真っ直ぐその迂回している部分を突っ切る形で道が他にあるらしい。

それで、その真っ直ぐ突っ切る形の要するに近道を行ったわけです。
荒っぽい地図だったせいか、地図にはない分かれ道なんかがあって結局迷ってしまいました。

ガソリンも心もとない。
まだ昼間だったのでそれが救いでした。

何とかちょっとした町・・・といっても集落、みたいな感じなのですが、そこへ着いた頃には夕方になっていて、お金もなかった私はとりあえずガソリンだけ入れて車中泊をすることにしました。
といっても朝まで寝るわけではなく、適当に仮眠を取って、起きたらすぐに出発しようと思ったのですが・・・。

眠っているとクルマの窓を誰かが叩きます。
起きると地元の方が怪訝そうに覗いていました。

無理もないですよね。
観光地でもないのによそ者のクルマがずっと泊まっているわけですから。

とりあえず事情を説明すると、どこかちゃんとした所に泊まればいいのに、というようなことを言います。
そして国道一号線への出方も教えてくれました。
よくは覚えていませんが、実際はかなり国道一号線から外れていました。

ところが、そのおじさんは変なことを気にするのです。
それは『いつここから出発するのか?』ということをかなりしつこく聞いてくるのです。
私は少し疲れているので、「適当に寝てから出るつもりです」と言ったのですが、「このへんも物騒だし、早く大きな道に出た方がいい」とか、暗くなって道が分からなくなっても大変だから、のようなことばかりで、今考えれば要するに『早くどっかに行ってくれ』と言いたいようでした。

さらに、今私のクルマが向いている方向には何もなく行き止まりだから、ここでUターンしなさい、ということもかなりしつこく言っていました。
その時は親切だなと思い、そのまま了解したのですが・・・そのオジサンはそのこのまま真っ直ぐ行っても行き止まりだよ、という方へと歩いて去っていきました。

眠気も覚めてしまったし、オジサンの忠告もあるし出発しようと思った私は一度ノビでもしようとクルマの外に出ました。

日は落ちていて真っ暗ですが、道の先を見るとぼぉっと明るい。
そっちはオジサンが行き止まりだから、と言った方です。

あれ?と思ってクルマに戻り、私はその『行き止まり』の方へ進んだのですが、そこは小学校のような建物で校庭でお祭が行われていました。

ちょうどお腹もすいたし、何かタコヤキ屋さんでも出てたらと思ったのですが、ヤグラを組んで提灯もブラ下がっていますが、特に屋台やお店か出ているわけでもなく、ただ町中の人が集まっているだけのお祭のように見えました。

太鼓の音も聞こえません。
何となく目をこらすと、お祭の参加者みんながこっちを見ています。
駐車場もないし、クルマで来る人なんかいないんでしょう。
かなりこっちに注目している様子なのです。

少し気まずいような、怖いような気分になって、そこでモタモタUターンするのもいやで、そのまま『行き止まり』の方へ向かったのですが、行き止まりではなく、確かに時間はかかりましたが、そのままほとんどまっすぐで国道一号線へと出られる道でした。
今でも思い出すと少し不思議な気分になります。

よそ者に知られてはいけない秘密のお祭だったのでしょうか。

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