これは今から8年程前。
俺が13歳の夏休みに体験した事です。
その日俺は従姉妹の伯母(おば)の実家がある岩手県の盛岡市に来ていて、その実家に従姉妹と伯母(おば)と一緒に泊まっていました。
なんでもその家に一人で住んでいたお婆ちゃん(伯母の旦那の母親)が痴呆になったため、老人介護施設に預けるとかなんとかで・・・。
しかし立派な一軒家でしたし、誰も使わないのはもったいないので借り手さんを見付けて賃貸するとかで、運良くすぐに借り手さんが見付かったので貸す前に家の大掃除と言うことで手伝いに・・・という感じです。
あれは確か二日目の夜の事です。
時刻は既に23:00を回っており皆で遅めの風呂を終えて、昼の大掃除という労働の事もあり、まったり、ぐったりしていた時の事です。
従姉妹の姉ちゃんが突然、「散歩行かない??」と言い出しました。
従姉妹は三姉妹なのですが、長女の散歩の提案に二女、三女共に賛成・・・との事で・・・。
俺はハッキリ言って嫌でした。
なんたって田舎だから地元と比べて外灯の少ないこと・・・。
ましてや深夜00:00近い時刻だと外に人など居ません。
暗いし静かだし知らない土地だし・・・・・・。
けど従姉妹達はノリノリ。
恐らく都会育ちの従姉妹達は、車が無きゃ満足にコンビニにも行けない土地で退屈してたんでしょう。
だからって深夜徘徊は違うだろ・・・と内心思いましたが、俺もまだまだ13歳と心身共に未熟でしたし、一応男子なので雀の涙程ですが゛『男のプライド゛』なるものがありました。
なので、「別に良いけど・・・」とクールに決めちゃいましたね・・・。
そして従姉妹と俺の計4人で家を抜け出しました。
ホント暗かったです。
まぁ不幸中の幸いと言いますか・・・従姉妹は一番下の三女で俺と同じ歳。
二女は三歳年上・・・長女に至っては七歳上なので、情けないですが年上の割合の多さに安心していました。
最初は暗さに慣れてないため緊張感が漂ってましたが、幾分か歩いてるうちに暗さにも慣れ皆リラックスして夜空に光る星なんかを楽しんだりしてました。
しかし他愛もない会話をしながら十数分ほど歩いた頃に異変が起こりました。
視界の右端に何かヒラヒラするものが・・・。
俺は妙にその正体が気になりました。
なぜかというと、俺達は普通の道路を歩いていましたし、右側にフェンスがありその向こうは雑木林です。
そのヒラヒラするものは雑木林の中にあるのです。
道路には外灯は一つもありません。
しかし不自然に雑木林の中に一つだけ明かりのついた外灯があるのです。
そしてヒラヒラするものは外灯の下にあります。
最初ヒラヒラに目のピントを合わせた時の印象は・・・白い布浮いてるカーテン・・・??でした。
それからほんの数秒見つめて、誰かが外灯に白いカーテンでも縛り付けたのか??・・・と情報を整理した刹那・・・整理した情報全てが一気にぶっ飛びました。
布の天辺には黒い塊。
それは、人の頭と髪の毛でした。
しかもよく見ると髪は長くて真っ黒で顔は見えません。
絵に書いた幽霊のようなモノが外灯にロープを結び、まるで首吊りしているかのようにぶら下がっていました。
従姉妹達はまだソレに気付いていない。
ここで俺が冷静さを欠いたらパニックになると思い、冷静に思考を巡らせる事に努めました。
「もしかしたら首吊り死体かもしれない。しかしそれにしては面妖な風貌だし・・・。見たまんまではリングの貞子としか思えない・・・。どっちにしろ死体だろうが幽霊だろうが、こえぇぇぇぇ!!!!!!!!!」と、すぐに俺の頭は限界を迎えました。
そして一番近くにいた二女に、貞子(仮)から目線は反らさずに出来るだけ冷静にその存在を伝えました。
俺「A(二女)・・・・・・アレなに??」そう言って俺が貞子(仮)を指差すと、Aの視線はソコに。
A「・・・・・・何あれ??・・・きゃあぁぁぁぁぁ!!」
長女・三女「えっ!?なにっ!?なにっ!?・・・・・・きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」走り去る女性陣。
俺「うそぉぉぉぉぉ!!!!」追い掛ける俺。
夜中の皆寝静まってる中、外をギャーギャー喚きながら走る男女。
かなり迷惑だったと思います。
そして全速力で家に戻った俺達は風呂に入った後なのに汗だくでした。
夜遅くに出歩くなとガッツリ伯母(おば)に叱られて俺達は渋々寝室にに向かいました。
そこでの会話を一部記します。
俺「つかAアレなんだったと思う??」
A「・・・・・・・・・・・・」
俺「そっちの二人はなんか見て逃げたの??」
長女・三女「うちらはなにも・・・・・・ただAの声にビックリして反射的に」
俺「まぁ・・・あの声はやばかった」
長女「てゆーかAもしかしてこっちでも何か見たの??」
俺「??」
その時、長女から聞いた話だと、二女のAはかなりの霊感体質で、(自分の部屋のベッドに見しらぬじいさんが座ってたり等は日常茶飯事らしい)そのため何か見たんじゃないか・・・・・・と。
しかし普段から見慣れてるAがアレだけ取り乱すって事は、相当嫌なモノを感じたのではないかと。
そして何も見なかった長女・三女がお気楽に寝静まった後、やっと泣き止んだAがまた泣き出して、「ごめんね・・・・・・でも大丈夫だから・・・・・・」と繰り返しながら、俺が眠りにつくまでずっと俺の頭を撫でていました。
それが一番怖かったです・・・・・・(笑)これにて終了です。
まぁ、あれから8年経ちましたが多分何もなかったので、(気付いてないだけかも)今では笑い話しにはなりませんが、全然重くないです。
従姉妹のAは最近は変なものを見ることもなくなったらしいです。
ただ、なんであんなに泣いたのかを聞いたら「あんな怖い奴がK(俺)に見えたのがショックだったから」との事です。
まぁ確かに怖いと言うか気持悪いと言うか。
そりゃ不気味でしたけど・・・。
ただ悲鳴で驚かされるわ、それが原因で皆に置いていかれるわ、極めつけに謝られながら頭撫でられたのもだいぶ不気味でしたけど(笑)