防犯見回りのお地蔵さんの話を読んで知人男性から聞いた体験談を思い出した。
子供の頃、夏休みに田舎に帰省した際に近くの川で釣りすることにハマったらしい。
その日は雨の予報で既に湿った風が吹いていた。
川に行くと彼の定位置である岩に先客が座っている。
民芸品のような笠とゴワついた長袖と汚れた袋を背負う後ろ姿を不貞腐れて見つめていると、先客がぎこちなくゆっくりと振り返り始めた。
その顔つきが見えてきて完全にこちらを向く前に知人は慌てて声も出せずに逃げ出した。
その顔は無表情で白眼も黒眼もとにかく、全てが均一に黄土色に緑が混ざったような色で、当時流行って信じていた口裂け女だとかの都市伝説の類だと思ったから。
親には信じてもらえずただ叱られ、外はすぐに豪雨になり夜中まで降り続いた。
翌朝お爺さんと見に行くとあの岩は濁流の中。
『助けられた』とお爺さんに言われて、川を見下ろすように立つ地蔵に初めて気付いた。
言っても聞かない子供を大人が怖がらせて帰したのかもしれないけど、マスクには見えなかったしお地蔵さんが忠告してくれたという方が良いから今もそう信じてるんだ。
河童か狸かもしれないけどねw
というお話・・・。