私の母親の話。
私の母親は人が亡くなる瞬間が見える。
正確には、見えると主張している。
死期とか寿命とかそういう事ではなく、魂が抜けるのが見えるらしい。
人の葬儀に行った後など、「◯◯の時に棺からふわっと浮き上がるのが見えた」などとよく話す。
また、お見舞いに行った帰りに「あの人もうダメかも。魂が見えた。」と言った事もある。(なんとも不謹慎なので私は怒ったが、母はもう見えたから仕方ないと言っていた。)
ちなみに、葬儀やお見舞いの時点で見えているので、厳密には人が亡くなる『瞬間』ではないようだが、母がそう言うのでそういう事にしておく。
そんなある日のこと。
母に車で駅まで送ってもらう途中、母が突然「グゥッ」と声にならないうめき声をあげ、急な方向転換をした。
明らかに遠回りなので、「駅までだよ?」と言うと、母は車を止めて「前を走っていた車から3人分魂が抜けた」と言った。
3日後、市内で人が焼き殺されるという事件がニュースになった。
ただし、被害者は1人。
犯人が2人。
無関係だといい。