もう何年か前の事になるんですが自身の体験談になります。
その時は仕事の都合で友人の家に一泊お邪魔する事になっていて夕方友人と会う事になっていました。
確か17時ちょっと過ぎた頃だったと思います。
合流しすぐに友人宅には向かわず、街に寄って早めの夕食をとってから街を軽く散策しながら、お互いの近況について話しつつ友人宅へ行きました。
19時前くらいだったと思います。
日も暮れて暗くなった頃に友人宅へ到着。
乗り物は使わずに街からそのまま徒歩で。
友人宅は昔ながらの古風な家で立派な作りでした。
お邪魔するのは今回初めてで、門を開けて敷地内へ通されました。
友人は祖父母と3人で暮らしており、少し広すぎると話してました。
玄関を開けると驚きのあまりビクッとなってしまいました。
一段高い足置き場に古いボロボロの人形が置いてあって絶句しました。
人形を入れるであろうガラスのケースも土台もなくその場にドンと・・・。
髪は手入れされてないみたいでボサボサでした。
友人が自分を驚かそうとしてわざと設置してきたのでは?と思ってあえて無視して中へ上がりました。
今思い返してもあの時無視せずにその場で確認しておけばよかったと思ってます。
少し広めの客間に案内されて落ち着くと、家の中が少し外より寒いと感じ友人に伝えると温風ヒーターを用意してくれました。
付けてはみたもののさほど変わらず・・・。
天井には太い梁(はり)があり、和風で昔の家なんだな~と改めて確認。
その後、友人の祖父母に簡単なあいさつをすませてお風呂を頂きました。
その時に感じていたのが古風な家のせいかわからないんですが、少し・・・家の中が暗い感じがしました。
家財道具なども昔のものであろう物ばかりでどれも年季が入っており、昔の新聞等もありました。
自分が通された客間には恐らく本物であろう鎧(よろい)と、額縁に入れられた大判や小判、種類がわからないんですが銀色の小判のような物も数点飾ってありました。
古い物ばかりでしたがしっかり手入れされており、大事にされてるんだなと思いました。
ただその中に場違いなヒーターや大画面のモニターがあるのは違和感がありました。
その後しばらく友人と談笑し、ふと時計を見ると21時を少し過ぎた頃でした。
友人宅の雰囲気に慣れてきた自分は思い切ってさっきの人形についてネタばらしを迫ってみました。
軽いノリで友人に、「脅かすつもりだったんでしょう?」とつっつくもきょとんとしており、「何の話?」と返されて突っ込んだこっちが間の悪い空気に飲まれました。
「またまた~」と返しても友人が顔に??を浮かべた様子で「家に人形のたぐいは置いてないよ」と言われました。
自分としては「これだけ古い物があるんだから人形くらいあるでしょ?」と返すも「友人はほんとにない」の一点張り。
そんなやり取りを友人としていると、友人の祖父が客間に顔を出し「わしら先に寝るからの」と伝えにきました。
自分は思い切って友人の祖父に確認をとってみました。
私:「お爺さん、この家に人形ってありますか?」
友人の祖父:「人形?おもちゃのか?」
私:「いえ、古い日本人形です。(この時に自分が見たままの人形についてうかがいました)」
友人の祖父:「うちには日本人形どころかコケシも置いとらんからなぁ」
私:「そうですか」
友人の祖父:「人形は婆さんが好かんからずいぶん前に処分しとっと」
こんなやり取りをしました。
そんな問答を数分行ってお爺さんは就寝。
友人はまだ納得しきれてない自分に「家の中見てみれば納得する?」と聞いてきました。
まだ22時になっておらず寝るまでにまだ余裕があったので、迷惑じゃなければとお願いしました。
先にお爺さんとお婆さんの部屋へ、就寝前におやすみのあいさつという理由でお邪魔しました。(友人いわく毎晩こんな感じだから気にしなくていいとの事)
この時に自分も友人にならってあいさつをし、その際部屋をさっと確認しました。
自分が確認した限りでは、お爺さん達の部屋に綺麗な飾りや、高そうな置物は確認出来ましたが人形はありませんでした。
続いて友人の部屋、物置部屋、使われていない和室(ここも客間だと言ってました)念のため台所やトイレ、確認できるであろう場所はすべてチェックしましたが人形はありませんでした。
友人が「これで納得出来た?」と聞いてきたので納得せざるをえなく、もやもやしつつ友人に納得したと答えました。
思い返せばあの人形は手入れされた感じはまったくなかったように思えます。(記憶だよりですが)
ボロボロ具合いからして、この家にある手入れされた物との差の様な違和感がありました。
もし人形があったならこの家の人達なら綺麗にしてるだろうと。
何より人形をあんな玄関の足置き場にケースにも入れずに設置するだろうか?
でも家の中に人形はなく、思う事はどこか家以外の所に隠したのでは?
あるとすれば後は外くらいしか思い浮かびませんでした。
ふと窓から見た庭先はすでに真っ暗闇で、懐中電灯があっても探しに外に出るのは気が引けました。
外を探す気にはなれず、このままもやもやしててもしょうがないので、もう寝ようと友人に言って客間に戻りました。
友人は「自分も人形はあんまり好きじゃないからあったら困る」と言ってました。
でも日本刀とかのがよほど怖いと思いました。(使ってないほうの客間に飾ってありました)
その後押入れから布団を出して敷き、友人もせっかくだから一緒に寝ると言って二人分の布団を敷きました。
ヒーターを付けても広い部屋のせいか寒かったのでタイマーをセットしつつ布団に潜りました。
友人に「おやすみー」と言って電気を消し就寝。
温かいふわふわの羽毛布団で気持よく寝れると思ってました。
その時は・・・。
夢を見ました。
普通夢って起きた時にあれ?なんか変わった夢を見たようなって感じで、徐々に夢の輪郭すら思い出せなくなるんですが、自分がその時見た夢は今でも思い出せます。
その時に見た夢は、暗く長い和式の廊下の先からカタカタと進んでくるあの人形でした。
手にはお盆を両手で抱えていました。
お盆の上には何もなく、自分の近くへ来ると大回りで向きを変えそのまま戻って行き、また反対側で同じように向きを変えてこちらへ向かってきます。
その人形はずっとその廊下を行ったり来たりしてました。
自分は暗い廊下に突っ立ってずっとその行動を見てるだけで動くことができずにいました。
最初は気づかなかったんですが、人形の様子が少しずつ変わってきたので、ぎょっとしました。
口は閉じてたはずなんですが歯が見えてました。
歯がみえて次はどうなるのか気になる反面、どうにか逃げたいとも思う様になって、でも金縛りみたいに動けない・・・。
そんな事を考えている内に何度目かの周回をへてまた人形がこっちに来ました。
でも最初に見た人形からはずいぶんと様変わりししてました。
動きがぎこちなくなってきて、最初のボロボロ具合に輪を掛けて姿はひどくなってました。
また回ってあっちに行くのかと思っていたんですが、そのまま目の前で止まって動かなくなりました。
人形の顔がひどく歪んだ般若みたいな顔になっててとても怖かったです。
視界が赤くなって気づくと朝になってました。
変な感じに目が覚めて気持ち悪かったのを覚えてます。
変に汗もかいてて凄くだるかったです。
意味がある夢だったのかもしれません。
でも何なのか今でもわからず不気味です。
それ以降特に人形について変わった事は起きてません。
たまに友人と人形の話をしたりしましたが、やはりわからないとの事でした。
結局なんだったのか今でもわからずじまいです。
長くなりましたが、以上で書き込みを終わります。
読んでくださった方どうもありがとうございました。