絶対に残業したくない理由

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俺の通ってる会社のビルは1フロアに5つの会社が入っていて、共用部分の廊下やトイレの照明は、そのフロアの入居者全体で割り勘になっているらしい。
だから最終退室者は廊下の照明を落として帰ることが推奨されているんだ。

ウチのオフィスはその廊下の一番奥にあるんだけど、時々残業していると、いつの間にか誰かが照明を落としてる事があって、そうなるとトイレに行くときとか、帰宅するときは殆ど明かりのない中を歩かなければならなくなる。

スイッチは最も遠い廊下の反対側にあるので、トイレに行くときはそこまで殆ど手探りに近い状態になってしまう。

オフィスを出ると左は5m程度先に鉄の扉があり、避難梯子のある小部屋になっている。
内側に鍵があるのだけど殆ど開かずの扉で、非常口を示す緑色の常夜灯は無い。

右は真っ暗な長い直線になっていて、それを突き当たりまで歩いてから右に90度、次に左に90度折れ曲がれば、エレベーターやらトイレやらに行くことが出来る。

だけど非常口とか消防用の常夜灯は、このクランクの先にあるので、直線部分の廊下は本当に真っ暗なんだ。
問題はこの真っ暗な直線部分にある。

納期を目前に控えたある日。
他の社員は全員帰宅してしまい、俺は小一時間ほど残業をしてた。

夜の19時頃だ。
ふとトイレに行きたくなりオフィスを出たら、例によって真っ暗になっていた。

この時間に真っ暗になってることは珍しいのだけど、1ヶ月に1~2回くらいは照明を落とされてることがあるので、気にせず闇の中を歩き始めた。

廊下に出て少し歩き始めたところで突然冷や汗がどっと出始めた・・・。
何故なら背後の避難梯子のある小部屋の方から、誰かの強烈な気配を感じたからだ。

そのショックは歩くのを思わず止めてしまうほど大きな物だった。
普通に歩いていて突然歩くのを止めるほど、背後に嫌な気配を感じたことはこれまで一度も経験がなかった。
そして一旦立ち止まると歩くことも振り向くことも出来なくなった。

5秒くらい固まってたのだけど、その時間が永遠に感じられるほどだった。
そして何の前触れもなくいきなりその気配が消え去った。

後ろを振り向くことも出来ないまま、冷や汗をかきつつ必死で廊下を歩き、照明のスイッチを入れて気配を感じた辺りを見てみたのだけど、誰もいない。

急いでトイレに行ってオフィスに向かって歩き始めたのだけど、今度は今歩いてきた方角から嫌な気配を感じて立ち止まってしまった。

先ほどとは違って周りは明るいのだけど、どうしても怖くて振り向けない。
結局また5秒くらい固まった後、急に気配が消えて慌ててオフィスに駆け戻った。

今でもその気配の正体は判らないのだけど、それからは絶対に最後まで残業しないようにしてる。

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