拾ってはいけなかった袋

カテゴリー「心霊・幽霊」

これは俺が小学6年生の時の話。

両親が共働きの為、毎年夏休みの間は田舎の祖父母宅にあずけられてた。
小さい頃からずっとだったから、そこでも友達は出来た。

その夏、田舎で出来た友達と遊んで祖父母宅に帰る時の出来事です。

舗装もされてない道でそれを見つけました。
それは小さな巾着袋。
何気なくそれを拾い中を見ました。

おはじきみたいな物、和紙でできた人形、あと歯が何本もなくなってる古そうなクシ。

別に何も意識したわけではなく、それが落ちていた横の家に行き、「こんちはー」って声をかけた。
中から、おじいさんが出てきたので、「この家の前でこれが落ちていました」って、その巾着袋を差し出しました。

すると、おじいさんの顔つきがみるみるうちに豹変して、胸ぐらをつかまれながら「なんでお前がそれを持ってる!なんで持ってきた!なんで戻ってきた!」と、そんな事を怒鳴られながら突き飛ばされました。
何が何だかわけもわからなく泣きながら逃げ出し祖父母宅に帰りました。

尋常ではない自分の様子を見て祖父母は心配し声をかけてくれたのですが、なんか自分が悪い事でもしたのでは?と思い、ただ食欲がないと言ってその夜は風呂も入らず床に入りました。

翌朝、早くから騒がしい音で起きました。
祖父母も慌ただしく動いています。

「何かあったの?」と聞くと、「近所のおじいさんが亡くなった」と。

朝ごはんを食べながら祖父母の話に耳を傾けていたら、それは昨日のおじいさんが首を吊ったと。

俺はパニックになり泣きはじめると、祖父母が「大丈夫大丈夫」と言うので、「違う!そうじゃない!」と、前日の出来事を泣きながら話しました。

すると、しばらく沈黙があってから祖父が言いました。

祖父:「そうか、その袋にクシが入ってたのか。昔、あのおじいさんの子供が行方不明になってまだみつからんのじゃ。帰ってきたんだな。」

ちなみにその子の名前は「さち」って名前だと。

田舎で出来た友達の中に「さち」って名の女の子がいた事は祖父母には黙ってた。
そのおじいさんが亡くなってから姿を見なくなったから、もしかしてそうかもと思って。

中学生になってからは、塾通いで田舎で過ごす夏はなくなった・・・。

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