火葬場から俺が連れて来た・・・

カテゴリー「心霊・幽霊」

俺が17歳の頃に実際経験した話。

当時、ほぼ常に一緒にいたSって奴がいて、そいつが色々怪談だとか心霊スポットだとかが好きだったんです。
俺も昔は見えなかった物が見えたりするようになって(ぼや~っと人魂程度にですが・・・)、面白がってました。
やっぱり知識がないといけないですね、面白がっちゃいけなかった。

夏休み、深夜2時前。
いつものように夜中まで遊んでた俺たちは、ちょっと離れた火葬場に肝試しをしに行くことになったんです。
もちろん、言いだしっぺはS。
2人で行っても面白くないので、電話でAとYを呼び出しました。

怖がる二人を連れて、大きな道をまっすぐ自転車2台で走りました(二人乗り×2です)。
火葬場が近くなってきて、夏だというのに空気がどんよりと重く冷たくなった気がしました。

そして火葬場に到着。

でも実際は中に入る事はできなくて・・・当然ながら鍵がかかってたんですよね。
仕方ないからここで怪談でもして気分をもりあげようか・・・とSが言い出したので、みんなで火葬場の敷地内で輪になり怪談を始めました・・・。

怪談話をしていた最中の事です。
Sがお清め用に、と持ってきた塩のビンを振りながら話をしていたんです。
で、みんなを驚かせる・・・「わ~!」とか、そういう怪談あるじゃないですか。
その「わ~!」の瞬間に腕を振り上げて、塩をぶちまけてしまったんです。

Sはちょうど俺と対面で、俺以外の全員が頭から塩を被って文句を言ってました。
その時の俺はというと、ざまーみろ、日ごろの行いだよ!と能天気に笑っていたのです・・・。

時計の針が3時に近づいてきた時、そろそろ帰ろうか、という話になりました。
んじゃぼちぼち・・・と立ち上がり、正面を見た瞬間・・・。
ガラスに映ったんです、足のない男の子が、麦藁帽子に虫取り網を持って・・・。

Sが俺の様子の変化に気付きました。
俺は膝をガタガタ震わせ(ハッキリ見たのは初めてだったので)、言葉を発することすらできませんでした。

瞬時Sは自分の後ろを振り返り、「やっと出たのか」と言いました。
Sは突然、様子を見てくると言い、ガラスの方向へ向かって歩いていきます。
AとYは俺と一緒に立ちすくんでました。

そしてしばらくして・・・Sが俺たちを呼びました。

俺はYに肩を借りて、ゆっくり立ち上がりSの方へ歩いていきました。

「あのな、この先が火葬場みたいなんだ」

Sは言いました。

つまり、この草むらを越えたところに荼毘に伏せる機械がある、と・・・。
確かに、草むらの奥の方に銀色の物体(学校にある焼却炉の大きい物のような・・・)が見えました。

間違いない、俺たちは確信しました。
さっきの俺が見た少年といい、Sが感じている鳥肌といい、間違いなくいる・・・。
全員がそう感じていました。

「じゃ、行ってくる」

Sはそう言うと草むらの中にズカズカと入っていき、奴の心臓はもう毛しか見えないんじゃないんでしょうか・・・。

そんな事を考えていると、突然Sが叫びました。

「やめろ、離せ!」

そしてSは物凄いスピードで引き返してきて「帰るぞっ!」と言うと、自転車に向かって走りました。

俺も腰を抜かしている場合ではありません。
猛スピードで自転車まで駆け寄り、後ろにYを乗せて急発進。
全力でこいで、明るい大通りまで走りました。

そして、さっきまで晴れていたはずなのに、突然の大雨・・・。
間違いなく通り雨なのですが、先ほどの出来事からも不気味で仕方ありません。

帰路でYが肩を叩いてきて、俺を怖がらせて楽しんでましたが、2回、3回としつこいので無視しました。

そして、地元に帰ってくると、暖かい物がほしくなり、コンビニに入る事にしました。
まぁ、濡れた全身にクーラーが痛かったですが・・・。

「しかしY、何度も肩を叩いても、効果がないって何で分からないかなぁ?」

俺が笑いながら言うと、Yは「え・・・?」と言いました。

「俺、2回しか叩いてないよ」

Yは言いました。

おかしいです。
俺の肩は3回叩かれてるんです。
きっとパニックでおかしくなったんだよ、と慰められ、みんなでYの家に向かう事に。

道中、俺はずっとパニックなんかじゃない、と思っていました。
だって、肩を叩かれたのは大通りに出た後・・・つまり、俺は既に落ち着いていたのですから。

「明日は昼からプールに行こうぜ」

そんな話をしながら、Yの部屋で雑魚寝することに。
ですが、みんながウトウトと寝始めた頃、窓がガタガタうるさい事に気付いたんです。

「何かうるさくねぇ?」と俺が言うと、みんなも同じように「だよね、うるさいよね」と部屋にひとつしかない窓を見ました。

しばらくの沈黙の後、Aが「おい・・・誰かカーテン開けろよ」と、みんなが思っていた事を口にしました。

Sが無言で立ち上がり、勢いよくカーテンを開きました。

「うわああああああああああああああ!!」

カーテンにはびっしりと無数の手、手、手。
大きなものから小さなものまで、隅から隅まで白い手形がたくさん。

しかも、Yの部屋の窓は曇りガラスで、ハッキリ物が見える事なんてありません。
それが、曇りガラスよりもクッキリと手形が・・・。

俺は失神しました。

翌日、プールに行く気分にもなれず、Yの親御さんに連れられて神社に御祓いに行ってきました。

どうやら”連れてきた”のはやはり俺のようです。
詳しい話を聞こうとしたのですが、親御さんは何も教えてくれませんでした。

ただただ「この事は忘れなさい」と言うだけで・・・俺は一体、何を連れてきたんでしょうか。

今となってはみんなとも疎遠で、確かめる手段もありません・・・。

長文の割に面白くなかったかもしれません。
実体験をそのまま書いたので許してください。

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